アクセルリスがナノバイオ分野の新コンソーシアム発足へ
アドバイザリーコミッティー設立、健康・医療分野をターゲットに
2005.12.20−アクセルリスは、ナノバイオ領域を対象にしたコンピューターケミストリーシステム(CCS)開発を推進するため、「ナノバイオロジーイニシアチブ」をスタートさせた。ナノバイオチップや生体認識のための分子センサー、ドラッグデリバリーシステム(DDS)などの設計・開発に役立つ包括的なソフトウエアを開発することを目指しており、実現すれば世界的にも例のない最先端CCS製品群が誕生することになる。同社が得意としているコンソーシアム形式で開発を進める予定で、来年の1−3月期にも正式にメンバー募集を開始したいとしている。
アクセルリスは、革新的なCCSを開発する際に、大学などから専門の研究者を集めて指導を受けつつ、複数のユーザー企業から資金を得て実際に開発を進めるコンソーシアムのスタイル(通常は3年間のプロジェクト)を取ることが多い。現在も、ナノテク関連の先端CCS開発を目指す「ナノテクノロジーコンソーシアム」を運営している。
今回のイニシアチブでは、米システムバイオロジー研究所(ISB)の共同設立者兼理事長であるレロイ・フッド博士をリーダーとするサイエンティフィックアドバイザリーコミッティーを組織した。まずは、ナノバイオ分野における技術的・商業的に重要な課題を明確にし、優先順位付けを行うことに取り組んでいく。
コンソーシアムがスタートすれば、開発の方向性や優先度はメンバー企業の意見が尊重され、開発成果の利用は一定の期間、メンバーだけに限定されることになる。
進行中のナノテクコンソーシアムと今回のナノバイオイニシアチブとの違いだが、おおまかに前者はハードマテリアル、後者はソフトマテリアルを対象としたものになるようだ。とくに健康・医療分野への適用が焦点となり、具体的には、治療薬や診断のためのデバイスを体内の目的の部位に正確に輸送するナノスケールデリバリーシステム、生体認識・検出のためのナノデバイス、オーダーメード医療やシステムバイオロジー、生物兵器からの防衛−といった領域において、まったく新しい技術開発を可能にする支援ソフトウエア群の完成を目指す。開発の際には、ナノシステムとアーキテクチャーに対するスマートなデザイン方法、安全性および毒性に関する事柄に重きを置く方針だという。