2005年秋のCCS特集:アドバンスソフト

ナノ材料解析など先端分野で評価、地球シミュレータ利用サービスも開始

 2005.12.08−アドバンスソフトは、文部科学省プロジェクト「戦略的基盤ソフトウエアの開発」(FSIS)および「革新的シミュレーションソフトウエアの研究開発」(RSS21)での成果を商用化し、広範な普及に乗り出している。日本の科学技術戦略の基盤となるような先端的ソフトに育て上げることを目標としており、各方面からの期待も大きい。

 同社が商用版の第一弾を発売してちょうど1年になるが、なかでも評価が高いのが「Advance/PHASE」。ナノデバイスなどの表面・界面の電子状態解析、誘電物性解析、反応経路・障壁エネルギー計算、表面拡散、触媒反応などの解析機能を持つ。海外製のライバルソフトと機能的には肩を並べているとしており、積極的に比較・評価してほしいという。

 また、量子力学的にドッキングシミュレーションを行う「Advance/バイオステーション」に関しては、スクリーニング機能がほしいという声が多いため、来年3月までに対応しようと開発を進めている。量子力学での精密な評価を行う前に、1次的なスクリーニングを行うプログラムとの連携を目指す。さらに、計算エンジンであるフラグメントMO法「ABINIT-MP」に電子相関を考慮できるポストハートリーフォック理論を組み込む計画もある。この手法は系を分割して計算するため、分子構造の特定部分だけの励起状態を予測することが可能になるなど、興味深い解析が可能になるという。

 これらのソフトは、学術的背景も新規性の高いものであるため、その理論を深く理解してもらうため、解説書も作成して提供中。それに加えて、10月には計算事例を集めたCD-ROMも用意した。実際のデータも入っているので、ソフトを持っていれば計算を試すこともできる。

 一方、海洋研究開発機構に設置されている「地球シミュレータ」を利用した受託解析サービスを開始した。国内最速の環境でシミュレーションが行えるため、これまでは計算が不可能だった大規模問題にも対応可能。まったく新しい知識の獲得につながる可能性も出てくる。