2005年秋のCCS特集:ヒューリンクス
合併統合で国内随一の品ぞろえ、企業向け市場でも実績
2005.12.08−ヒューリンクスは、アルゴグラフィックスの子会社として国内最大級の科学技術計算ソフト販売サイトを有しており、品ぞろえの豊富さでは他の追随を許さない。パソコン用ソフト販売の印象が強い同社だが、近年ではソリューションビジネスに力を入れており、エンタープライズレベルでの実績もあがりはじめている。
同社は数多くのCCS製品を扱っているが、その中でも代表的なものが米ケンブリッジソフト(CS)の製品群。化学者の定番ツールである「ChemDraw」で知られているが、ここ数年の地道な努力が実を結び「ChemOfficeエンタープライズ」の事業も軌道に乗りはじめた。
一つの契機がオリエンタル技研工業と共同開発した試薬在庫管理システム「STORAGE4」。もともとMDLのISISを化合物の登録や検索に利用していたシステムだったが、ヒューリンクス側でCS製品との統合を実現させた。データベースエンジンにはオラクルを使用しているため、セキュリティ面も堅牢で、ワークフローに沿ったカスタマイズやインテグレーションも容易。CS社にも試薬管理ソリューションは存在するが、STORAGE4には日本の法規制に準拠しているという利点がある。
また、ヒューリンクスでは、4月にネットサイエンスとの合併で計算化学製品群のラインアップが豊富になったことを生かし、組み合わせ販売を促進する計画。その中心になるのが米ウェブエムオー社の「WebMO Pro」で、幅広い分子軌道法(MO)ソフトのウェブGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)として利用することができる。ウェブサーバーにこのソフトをインストールしておけば、クライアントからはブラウザーだけでさまざまなMOソフトを駆使することが可能。
GaussianやQ-Chem、Molpro、MOPAC、NWChem、Tinker、GAMESSなどに対応しており、ジョブの投入から計算結果の可視化までをウェブ上で行える。MOソフトを実行するサーバーはネットワークに分散していてもかまわない。10月には最新バージョン6.0となり、振動計算のアニメーション表示機能も追加されている。ヒューリンクスはほとんどのMOソフトの販売権を持っているため、これと組み合わせての提供を進めていく。