2005年秋のCCS特集:菱化システム
システム統合で独自の高付加価値戦略、大量データをオンメモリーで操作
2005.12.08−菱化システムは、国内で最も古いCCSベンダーの1社で、とくに加CCGの「MOE」をプラットホームにしたソフト開発や他社製品の統合などを実現することで、単なる販売代理店の枠を超えた事業展開を行っている。その実績が広く知られるようになり、海外のCCSベンダーから製品を扱ってほしいという要請が舞い込む例も増えている。
現在、同社がMOEとの連携で力を入れているのが米デイライトの化学データベース(DB)製品群。双方のオブジェクトをまとめてコンパイルすることにより、デイライトバージョンのMOEを実現している。完全にデイライトの機能が組み込まれており、大量データのハンドリングやDB共有など、MOEになかった機能を補完することができる。
とくに、デイライト特有のSMILES表記法は1,000万分子を1ギガバイトのメモリー上に展開することが可能。化合物検索のためのSMARTS技術はワイルドカードが使えるため、構造の特定の部分にハロゲンが付いたもの、あるいは水素以外の原子が付いたものなど、化学者の発想で柔軟な検索が行える。しかも、オンメモリーで検索するため、300万件のDBからの類似構造検索も一瞬で終わる。複雑な絞り込みも容易。
デイライト製品は今年の夏にバージョンアップし、64ビット対応となったため、扱えるファイルサイズが16ギガバイトへと拡大。64ビットの巨大アドレス空間を生かせば、世界中の既知の化合物情報をすべてメモリー上で扱うことも夢ではない。デイライトを採用することでの新しい価値を提案したいという。
MOEと連携させれば強力なCCS環境が実現するが、DB検索だけの用途のためにはブラウザーから利用できるJavaインターフェースも開発して提供する考えだ。
このように、同社は複数の製品をつないだり統合したりするノウハウや開発力を身につけてきており、今後ともブラックボックスのようなものではなく、同社独自に付加価値をつけられる製品群を整備していく方針。