コンフレックスが配座探索ソフト最新版CONFLEX5.2を発売

将来のドッキングシミュレーション実現へ向け機能拡張、たん白質配座探索を高速化

 2005.11.16−コンフレックス(本社・東京都新宿区、森下栄一社長)は、配座探索ソフトウエア「CONFLEX」の最新バージョン5.2を発売した。新薬開発の支援にターゲットを置いており、将来に導入予定のドッキングシミュレーションに向けての機能強化がいくつか図られている。

 CONFLEXは、一般的な計算化学ソフトが初期構造に依存した局所的な安定構造しかみつけられないのに対し、フレキシブルな分子の配座空間をもれなく探索することで、化学的に重要な配座異性体の最適化構造をみつけ出すことができることが特徴。

 今回の最新版5.2の新機能としては、まず配座発生の際に溶媒効果を計算できるようになったことがあげられる。これまでは、CONFLEXで配座を調べたあと、他の計算ソフトで溶媒効果を解析する必要があったが、CONFLEXだけで生体内(溶媒中)における安定配座を考慮することが可能。

 計算手法は、独自の改良を加えた新規電荷平衡法(NQEq)に一般化ボルン式(GB)を導入し、さらに非静電相互作用を取り入れたもの。構造が変わるたびに各原子上の電荷を再計算するため、溶媒中の立体構造を精密に評価することができる。将来、ドッキングシミュレーションが可能になれば、実際の受容体と生体内でドッキングする際の構造最適化を図ることができるようになるため、ユニークな機能が実現すると期待される。

 また、力場ポテンシャルに対して、ユーザーが擬相互作用として束縛力を付加させることができるようにしたことも、将来のドッキングシミュレーションを見越した新機能だという。それに加えて、振動動力学解析機能も搭載され、自由エネルギー近似を使って各配座での振動を再現することにより、分子の本来の動きをみることができるようになった。

 一方、受容体側であるたん白質の構造最適化の機能も強化。たん白質は巨大分子であるだけに配座探索の計算時間がかかることが難点だったが、ペプチド結合の特定の部位のねじれ角を回転させない(考慮する必要がない部分を固定する)ように設定するなど、さまざまな最適化手法を組み合わせることによって、計算時間の高速化と精度向上を達成している。

 なお、制作中だったCONFLEXのチュートリアルが完成し、同社のホームページでこのほど公開された。以下のページ(http://www.conflex.co.jp/prod_conflex.html)のリンクから無償で入手できる。代表的な実際の医薬品 7例に対する解析事例を取り上げて、配座探索の初級者向けの解説を行ったもの。 CONFLEXの有効性を実証する資料としても興味深い。