CTCLSが新薬候補化合物の毒性予測サービスを提供
米ジーンロジックと提携、臨床試験の期間短縮が可能
2005.12.15−CTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)は14日、米国のトキシコゲノミクス専門企業であるジーンロジック社(本社・メリーランド州、マーク・D・ゲスラー社長)と提携して、新薬候補化合物の毒性予測・解析サービス「ToxScreenレポート」(TSR)を15日から提供開始すると発表した。ヒトの心臓および肝臓、肝細胞に対する毒性を予測することができ、新薬を市場に出すまでの開発期間を大幅に短縮することが可能。費用は1件当たり400万円からで、2006年度までに5億円の売り上げを見込んでいる。
ジーンロジックのTSRは、薬物が体組織におよぼす副作用の原因を遺伝子レベルで解明するトキシコゲノミクスの考え方に基づいて、新薬候補化合物の毒性を予測するサービス。ラットを対象にした少量の動物実験を行って遺伝子発現データを取得し、ジーンロジック独自の遺伝子発現データベース「ToxExpress」と組み合わせて解析を行うことで、ヒトに対する毒性を予測することができる。
予測モデルは、心臓モデルと肝臓モデル、肝細胞モデルの3種類があり、1回の解析で心毒性と肝毒性を同時にスクリーニングすることも可能。
利用者から発現データを預かって解析を行うほか、実際の化合物を使った毒性試験・発現試験そのものからトータルで受託することもできる。
非臨床試験段階で候補化合物群を解析し、臨床入りに向けての優先順位の確定に利用したり、創薬に近い段階でサービスを受けることにより、候補化合物をブラッシュアップしたりする用途で効果を発揮するという。とくに国内の製薬企業は、欧米のメガファーマのように大量の臨床試験を一気に進めることは難しいため、臨床の成功確率を高め、開発期間の短縮を実現できるソリューションが求められているとして、積極的な提案活動を展開していく。
なお、ジーンロジックは、実際に毒性が現われてしまった化合物に対して、パスウェイ解析によって分子レベルでの毒性発現のメカニズムを解析する「MOTレポート」サービスも提供している。その知見を次の開発に生かしたり、他の用途への展開の可能性を探ったりすることに役立つ。また同社は、ラットだけでなく、イヌやサル(カニクイザルおよびアカゲザル)の発現データベースも蓄積しているため、種間解析を実現する点でも有利なポジションを占めているということだ。CTCLSでは、ジーンロジックの各種サービスや製品の紹介にさらに力を入れる。