CTCLSが新薬探索支援のためのDB製品2種を発売

7万種のヒトたん白質立体構造を収録、活性部位・構造類似性も予測

 2005.10.05−CTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)は4日、米アイドジェン・サータンティ(本社・カリフォルニア州、スティーブン・ムスカル社長)が開発した新薬探索支援のためのデータベース(DB)製品を販売開始すると発表した。新薬のターゲットとなるたん白質の立体構造を収めた「TIP」と、キナーゼに活性のある化合物のデータを総合的に集めた「ARK」の2製品があり、ともにASP(アプリケーションサービスプロバイダー)形式でサービスを提供する。年間利用料金は、前者が700万円から、後者は460万円から。2006年度に周辺製品や関連サービスを含めて1億5,000万円の販売を見込んでいる。

 開発元は、アイドジェン社とサータンティ社が今年の3月に合併してできたベンダーで、将来的にはソリューションを広げて、創薬ターゲットの認定からリード化合物の探索まで、ナレッジ駆動型の創薬支援プロセスを具体化させることを目指している。

 今回、CTCLSが発売した2製品は、合併前の両社がそれぞれに開発してきたもの。とくに「TIP」は、ヒトに関連した7万種のたん白質の立体構造情報を収録したDBで、薬物候補分子と受容体たん白質とのドッキングシミュレーションを強力に支援できる。独自のホモロジーモデリング法“STRUCTFAST”を使って予測した立体構造が登録されているが、この手法は立体構造予測の世界コンテストである“CASP6”において全自動予測で第1位、総合で第6位にランクされた精度を誇る。

 また、DB内には立体構造データに加えて、独自の“サイトシーカー”アルゴリズムで発見した結合部位の情報や、独自の“サイトソーター”アルゴリズムで計算した構造類似性情報も収録している。ターゲットたん白質の立体構造を検索する際に、それと構造の類似したたん白質も探し出すことができるため、ターゲットだけに作用する医薬分子をデザインして副作用を引き起こす可能性を回避したり、逆に類似たん白質との相互作用も考慮することで薬効の幅を広げたりするなどの戦略を盛り込むことが可能。類似たん白質の中から新しいターゲットをみつけることによって、臨床段階などで落ちた化合物を復活させる用途でも利用できるという。

 立体構造データは、PDB形式でダウンロードできるため、さまざまなドッキングシミュレーションソフトで読み込むことが可能である。

 一方、「ARK」はキナーゼに対して活性を持つ約40万種の化合物の構造と活性データ、合成方法などの情報を収録したもの。文献および特許情報からデータを集めており、もとになったアッセイのプロトコル情報までも収めている。300以上のキナーゼターゲットをカバーしているが、46のターゲットに対して、構造活性相関(QSAR)のためのトレーニングセットを内蔵していることも特徴となっている。

 このARKに関しては、ASPサービスに加えて、インハウス導入が可能なライセンスも用意している。