FQSがたん白質結晶化条件DBをASPサービスで提供
丸和栄養食品と共同で製品化、たん白質の立体構造研究を促進
2005.11.09−富士通九州システムエンジニアリング(FQS)は7日、丸和栄養食品(本社・奈良県大和郡山市、和田吉雄社長)と共同開発した、たん白質結晶化条件データベース(DB)「Crystal T.B.」をインターネット経由で検索利用できるASP(アプリケーションサービスプロバイダー)形式のサービスとして14日から提供開始すると発表した。たん白質の立体構造を知り、医薬品や機能性たん白質を開発するための研究を効率化できる。年間利用料金は、教育機関向け95万円、官公庁・一般企業向けで250万円。3年間で10億円の売り上げを見込む。
X線結晶構造解析は、ターゲットのたん白質を結晶化させ、回折装置にかける試料を作成する作業がネックになることが多い。pH(ペーハー)、緩衝液、沈殿剤などの各種要因について細かく条件を設定し、それら一つひとつについて実際に溶液を調整しながら探っていく必要があるためで、作業に何ヵ月もかかかってしまったり、結晶を得ること自体がうまくいかなかったりするケースも少なくない。
Crystal T.B.は、丸和栄養食品(http://www.maruwafoods.jp/m-html/index.html)が独自に開発した最新のたん白質の精製ならびに結晶化技術をもとに、たん白質の結晶化条件に関する情報を網羅的かつ体系的に収集したもの。昨年10月にFQSとの共同で製品化され、パッケージとして販売されてきたが、今回、ASP形式でのサービスも開始することにした。
DBのデータ内容は年に2回更新され、たん白質に関する情報として、名称や生物種名、リガンド、コファクター、機能分類クラス、構造分類クラスなど、また結晶化条件に関する情報として結晶化手法、結晶化温度、リザーバー組成、ドロップ溶液組成などが収録されている。さらに、Seeding条件(微結晶を使用した結晶化条件)、Harvest buffer条件(結晶を安定に保存させるための溶媒条件)、クライオ条件(たん白質結晶の凍結にかかわる条件)、コンプレックス作製方法など、技術的なノウハウに関する情報も豊富に収められている。
たん白質名、生物種名、複合体、機能分類、著者名などのキーワードで簡単に検索できるほか、アミノ酸配列によるホモロジー検索も可能。検索でヒットしたたん白質間で結晶化条件を比較することにより、ターゲットたん白質の結晶化条件の探索に役立てることができる。