日本総合研究所がJ-OCTAの最新バージョン1.1をリリース
散逸粒子動力学法(DPD)モデラーを追加、FEMとの連成解析も可能に
2005.11.18−日本総合研究所は、高分子材料設計のための統合システム「J-OCTA」を機能強化し、最新バージョン1.1を10月末から出荷開始する。経済産業省大学連携型プロジェクトとして実施された「高機能材料設計プラットホームの開発」(通称・土井プロジェクト)で開発された革新的な計算エンジン群を駆使するためのモデラーが完全に出そろった。同社では、28日にリリース報告会を開催するのを皮切りに、本格的な販売活動に入っていく。
今回のJ-OCTA 1.1では、ユーザーの要望をタイムリーに反映させた機能強化を実施した。とくに、粗視化分子動力学法エンジン「COGNAC」に導入された散逸粒子動力学法(DPD)をグラフィカルに使いこなすための専用モデラーが追加されている。DPDは、やはりJ-OCTAに含まれている動的平均場法エンジン「SUSHI」と同様に高分子のモルフォロジー予測を行うことができる。SUSHIの方は系を濃度場として記述する手法であり、高分子がつくるモルフォロジーの界面部分の濃度分布などを求めることができる。これに対して、DPDは分子構造を粗視化して扱うCOGNAC上で動作するため、例えば分子構造中の親水基が水の方向を向いているかどうかなど、分子の立体構造を考慮したモルフォロジー解析ができる点が最大の特徴。
DPDエンジン自体は外国製のソフトにもあったが、モデラーを備えているものがなかったため、ユーザーからの要望が非常に高かったという。
また、これまでモデラーが用意されていなかったレオロジーエンジン「PASTA」についても、今回の最新版から専用モデラーが提供され、これによりJ-OCTAの全エンジンのモデラーが出そろった。PASTAモデラーでは、多分散ポリマーの専用入力ファイルを対話的に作成したり、計算の実行結果を確認したりすることが可能。解析事例のシナリオを実行させることもできる。
さらに、SUSHIやDPDで計算した複雑なモルフォロジーの表面形状のデータをエクスポートし、有限要素法(FEM)などの構造解析ソフトに連携させることが可能になった。汎用性のあるNASTRANのバルクファイル形式で書き出すことができるため、FEM側で形状をメッシュ分割して物性などの解析に利用することが可能。
これら以外にも、その他のモデラーの機能強化をはじめ、今年の6月にリリースされたフリー版OCTA2005への対応なども図られている。
なお、28日に開催予定の説明会は、東京・半蔵門の同社東京本社で開催され、定員70人、参加費無料となっている。詳細は、http://www.jri.co.jp/si/nano-bio/j-octa/v11seminar.html まで。
写真を追加:2005.11.30