菱化システムが半経験的分子軌道法ソフトAMPACを新発売

高速計算が特徴、共通GUI環境でGaussianと連携

 2005.12.02−菱化システムは、米セミケム(本社・ミズーリ州、アンドリュー・ホルダー社長)が開発した半経験的分子軌道法ソフトウエア「AMPAC8」を国内で販売開始した。計算が速く、収束しないことも少ないので気軽に扱うことができ、遷移状態の探索なども行いやすい。Gaussianと連携できることも特徴。年間ライセンス価格は来年3月末までのキャンペーンで、企業向け31万5,000円から。教育機関向けは9万9,750円。

 AMPACは、計算化学分野で知名度の高いソフトだが、国内には代理店が存在しなかった。もともとはテキサス大学(当時)のマイケル・デュワー教授らが開発したもので、現在は商用版となっている。これまではあまり積極的にマーケティングが行われていなかったが、セミケム社では製品には自信があるのであらためて普及に乗り出したいとして、菱化システムに提携を申し入れた。

 半経験的手法の代表的なハミルトニアンを搭載し、自己無撞着場(SCF)の収束ならびに構造最適化が高速であることが特徴。アニーリング機能による構造探索・遷移状態探索なども得意としている。また、使いやすいグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を備えており、分子の構築から計算の設定、ジョブの投入・管理、計算結果の視覚化と解析までを一貫して行うことができる。

 セミケム社は、ガウシアン社の非経験的分子軌道法ソフトGaussian向けの専用GUIである「GaussView」のOEM開発元でもある。そのため、AMPACのGUIにはGaussViewとほぼ同等の機能が内蔵されており、ユーザーはAMPACとGaussianを共通の環境で併用することが可能。メニューから両方の計算ソフトを自由に呼び出せるので、AMPACで高速に構造計算を行ったあと、Gaussianで精密な解析を行うなどの一連の手続きが簡単に行える。

 菱化システムは、Gaussianの代理店でもあるため、両方を組み合わせた販売も推進。新発売キャンペーンに合わせて、12月末まで使用できるデモライセンスCDも用意している。

 なお、ライセンスの詳細だが、すべて年間使用権での提供となり、Windowsでのシングルユーザーライセンスが教育機関9万9,750円(キャンペーン終了後は11万9,700円)、企業31万5,000円(同37万8,000円)、UNIX/Linux用のマルチユーザーライセンスが教育機関9万9,750円(同11万9,700円)、企業126万円(同151万2,000円)、教育機関向けサイトライセンスが25万2,000円となっている。