英キャッシュロジックがP2P管理ソリューションを国内販売

合法的P2Pの利用拡大に対応、プロバイダーにコスト削減効果

 2005.11.25−英キャッシュロジック(本社・ケンブリッジ)は、インターネット事業者向けにピアツーピア(P2P)トラフィックを管理するための最新ソリューションを国内で販売開始する。ネットワークにおけるP2Pの影響を正確に把握し、コントロールすることによって、ユーザーのサービスレベルを低下させることなく、コストの削減を図ることが可能。ソリューションは2種類のアプライアンスから構成されており、代理店を介して販売を行う。

 P2Pは、いまやインターネットで最大のプロトコルに成長しており、全トラフィックの60%以上を占めているといわれる。同社によると、P2Pは違法なファイル交換の用途で普及したため検出を困難にする機能が組み込まれているものが多く、プロバイダーはP2Pの影響を把握しにくい。また、プロバイダーのネットワークはダウンロードを多く見積もった非対称トラフィックを前提に設計されているため、ダウンロードとアップロードの帯域を同等に消費するP2Pは、プロバイダーにとって本質的な問題にもなっているという。

 ただ、合法的なP2Pは今後ますます普及していくとみられている。ブロードバンドの拡大で大容量のコンテンツがネットワーク上を行き来するようになってきているが、現在の主流であるストリーミング配信が限界に達しつつあるためだ。例えば、英BBCではすべてのテレビコンテンツを放送当日にネット配信する計画を立てているが、ユーザーが多すぎてストリーミングでは対応できないため、P2Pでコンテンツをダウンロードさせることを考えているという。米国の映画産業もP2Pに積極的だというのが同社の見方である。

 このようなP2Pトラフィックのさらなる増加は、プロバイダーにコスト増となって跳ね返る。プロバイダーの中にはP2Pトラフィックを禁止または制限することによって対応しようとするところもあったが、ユーザビリティが低下したために受け入れられず、解約を増やす結果になってしまう場合が多かった。

 こうした問題を解決するのが同社のソリューション。レイヤー7ディープパケット査察によってプロトコル別にすべてのトラフィックを分析できる「キャッシュスイッチ320」(商品名)、コンテンツのキャッシングによってネットワーク帯域を削減できる「キャッシュプライアンス」(同)シリーズから構成されている。これらを導入することにより、中継コストで40%、アップストリームコストで60%の削減が可能。設備を増やすことなく、より多くのユーザーをサポートできるようになる。ユーザー側の使用感にはほとんど影響がない。

 装置の販売価格は、その地域の帯域コストによって異なるが、12ヵ月以内に投資回収できる水準になるという。