米ケンブリッジソフトが対日戦略を強化
アジア太平洋地区統括副社長を任命、企業向け市場を開拓
2006.03.17−米ケンブリッジソフトが対日戦略を強化し、日本事務所の体制を強化した。もと日本MDLインフォメーションシステムズの宇佐明人統括本部長を、アジア太平洋地区統括副社長として起用。既存の販売代理店と協調しながら主に企業向け市場の開拓に拍車をかける。とくに、電子実験ノートブックやアッセイデータ管理システムなど化学・生物学実験分野を中心にしたソリューションを売り込んでいく。
同社は1986年設立で、化学構造式の作図ツールである「ChemDraw」は化学者のための定番ソフトとして高い知名度を誇っている。本社をマサチューセッツ州ケンブリッジに置き、社員は70人ほどだが本格的なグローバル化はまだこれから。今後、欧州、そして日本に現地法人を設立することを目指している。
日本市場に関しては、富士通とヒューリンクス、大学生協が代理店になっているが、個人ユーザーがまだまだ大半で、「企業向けはいわば手つかずの市場」(宇佐副社長)だという。製品としては、個人向けのほかに、プラットホームとしてSQLサーバーをベースにしたワークグループ版、オラクルを利用したエンタープライズ版が用意されている。
ただ、企業向けに本格展開するとなると、最大手のエルゼビアMDLとの競合は避けられない。欧米では主戦場の化学情報管理プラットホーム分野でMDLをリプレースしたケースもあるが、国内では当面は直接対決を避け、電子実験ノートブック「E-ノートブックエンタープライズ」やアッセイ情報管理システム「バイオアッセイエンタープライズ」などの製品を中心に顧客への浸透を図っていく。
とくに、「E-ノートブックは他社に先駆けて2000年から製品を提供しており、ファイザーやメルク、グラクソ・スミスクラインなどの大手製薬会社で全社導入されている。日本でも化学会社数社に採用されているが、今後は製薬系でも普及が期待できる」(宇佐副社長)としている。
また、プラットホーム製品分野に関しては、まずは試薬データベース「ChemACX」などのコンテンツを評価してもらう考え。420の試薬カタログから70万化合物の情報を収録しており、コンテンツをSDファイル形式で提供する。MDLの基盤ソフトで情報を閲覧することが可能。
日本市場では、代理店主体の販売方針は今後も堅持するが、年内には日本事務所のスタッフ増員も図り、法人化を目指して活動内容を強化していくことにしている。