富士通九州システムエンジニアリングが薬物経皮吸収予測ソフト最新版

皮膚透過量・血中濃度など予測、医療分野への応用でも威力

 2006.01.24−富士通九州システムエンジニアリング(FQS)は、バイオコム・システムズ(本社・福岡県飯塚市、森大輔社長)が開発した経皮治療システム開発のための薬物動態解析ソフト「SKIN-CAD」の最新版4.1を販売開始した。消化管からの吸収は海外のソフトで例があるが、経皮吸収に特化したソフトはほかにはないという。FQSは、これまで新薬の探索のフェーズに焦点を当てた研究支援ソフトをそろえてきたが、今回の製品の投入により、幅広いレンジでのソリューション提供が可能になった。

 SKIN-CADは、九州工業大学の東條角治教授らが開発したソフトを製品化したもので、同大学発ベンチャーであるバイオコムが開発元になっている。近年注目されているドラッグデリバリーシステム(DDS)研究に合理的手法を持ち込むためのツールであり、薬物の皮膚透過量や血中濃度の時間変化などを予測することができる。

 入力パラメーターとしては、製剤適用時間と製剤面積、皮膚の構造(角質層の厚みや血流までの距離)を設定し、あらかじめ実験などで取得しておいた薬物の拡散係数・分配係数などの物性値を与える。それによって、薬物の皮膚代謝や体内動態を考慮したうえで、累積皮膚透過量、血中濃度、皮内薬物濃度分布などの計算結果が得られる。

 とくに、最新版4.1では、薬物分散型マトリクス製剤適用時の解析モデルに対応。薬物が完全に溶解した均一系に加えて、一部に結晶が残ったりしている現実的な系でのシミュレーションを行うことが可能になった。

 経皮治療薬として好ましい特性を持つ化合物のスクリーニングに役立つほか、製剤の臨床性能予測や投与計画設定など医療分野においても威力を発揮する。シミュレーションのためのパラメーターの調整によって、全身作用薬の血中動態、局所治療薬の皮下移行性、スキンケア製品の皮膚浸透性など、目的に応じた解析を行うことができる。

 Windows版でわかりやすいグラフィック機能を持っていることも特徴で、価格は民間向けが157万5,000円、大学・官公庁向けは52万5,000円。