NECソフトがプロテオミクス研究支援ツールBioWorkbench 2.0

アノテーション情報を自動で収集・整理、柔軟なカスタマイズ可能

 2006.02.11−NECソフトは、プロテオミクス研究を効率化する研究支援ツール「BioWorkbench 2.0」を開発した。同定した大量のたん白質に対し、モチーフ情報や相互作用情報などを公共データベース(DB)から自動的に検索・取得し、情報整理とマイニングを行うことができる。表形式でたくさんの情報を一覧でき、さまざまな切り口で簡単に考察することができるため、目的のたん白質に対する理解が深まる。個人の研究内容に合わせて柔軟にカスタマイズして提供する予定で、価格は50万円。

 BioWorkbenchは、もともと遺伝子配列解析を自動化するためのサーバーソフトウエアとして開発されたが、今回のバージョン2.0は性格を大きく変え、プロテオミクス研究者の生産性を高めるパーソナルツールに生まれ変わった。最近、実験装置の進歩によってたん白質が大量に同定されるようになってきているが、それぞれについてゲノム上での位置やモチーフ情報、立体構造、たん白質修飾情報、たん白質間の相互作用、リガンド情報などを手作業で調べる必要があり、これらたん白質を“理解”するためのプロセスがボトルネックになっていたという。

 今回の最新版は、質量分析などで同定されたたん白質のリストを取り込み、GIナンバー(ID番号)を利用して関連する公共DBを横断して、そのたん白質に関する情報を自動的に取得することが可能。対象DBはGenBank、UniProt、Refseqに加えて、立体構造DBのPDB、相互作用DBのIntActをカバーし、さまざまなアノテーション情報を引き出すことができる。文献DBであるPubMedのサポートも計画されている。

 情報はすべて独自のスプレッドシート上に表形式で展開されるので、一覧性が高く、重要なポイントをみつけやすい。また、フィルタリング機能を利用して、リストの中で重複しているたん白質をみつけ出し冗長性を排除したり、アノテーション同士を比較してグルーピングすることにより、データ間の関連性を探り出したりすることも可能。(写真参照)

 さらに、相同性検索のBLASTやモチーフ検索のInterProScanといったツールを連携させ、解析結果をスプレッドシート内に読み込むことができるほか、逆にたん白質の相互作用情報をネットワーク可視化ツールのCytoscape形式で出力することも可能である。

 同社では、バイオ研究のターゲットの変化によって、検索したいDBや連携させたいツールが変わることも考慮し、柔軟なカスタマイズサービスも合わせて提供していく。