米シミュレーションズプラスが創薬研究支援ツール最新版

大量のスクリーニングデータをクラスタリング、大幅な高速化・機能強化達成

 2006.02.21−米シミュレーションズプラスは、新薬候補化合物のスクリーニングデータを解析し、活性の高い化合物の開発に役立てることができるソフトウエアツール「ClassPharmer 4.0」を開発した。昨年11月に買収したバイオリーズン社の製品だが、やはり同9月に買収したセージインフォマティクス社の技術を統合し、最新バージョンとして製品化したもの。機能とスピードが大幅に向上したことが特徴となっている。国内では、2月末からノーザンサイエンスコンサルティング(NSC)を通して発売。ソフトの年間使用料金は300万−800万円。

 ClassPharmerは、ハイスループットスクリーニング(HTS)から前臨床試験にいたる創薬プロセスを支援するツール。大量のケミカルスクリーニングデータを解析し、共通の部分構造を抽出してクラス分類を行い、活性などで優先度の高い化合物群を見いだすことができる。有望な基本骨格をもつ化合物を集めて、構造活性相関(QSAR)モデルの構築につなげていくことも可能。

 とくに、今回の最新版4.0は、セージ社の化学データ処理・解析ツール「ChemTK」を組み込むことによって大幅な高速化が図られた。前バージョン3.5に比べて、クラス生成の速度は10万分子で24時間かかっていたものが3時間に、10万分子からの部分構造検索は20時間かかったものが20秒に、10万分子のSDファイルの書き出しは20分が1分へと飛躍的な短縮が達成されている。

 クラス分けの手法も高度化されており、複雑な環構造を持つ化合物なども精度良く扱えるようになった。一覧性の高いデータ視覚化機能によって、化学者の的確な判断をサポートできることも特徴。

 また、同社の独自製品である「ADMETプレディクター」との連携によって、さらに強力なソリューションが実現されるという。化合物の代謝や毒性を予測することができるため、薬理活性とのトレードオフの関係を排除しながら新薬開発を行うことが可能になる。

 競合製品は、リードスコープやオープンアイ、デイライトなどになるということだ。

 ClassPharmerは、昨年まではCTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)が国内販売を担当し、10数社の導入実績がある。今回、シミュレーションズプラスは、以前から関係の深いNSCに販売を一本化することにした。既存ユーザーのサポートもすでに引き継がれた模様。NSCは北海道に本社を置く少人数のベンチャーだが、この機に人員増や東京への進出も図るなど、事業体制を強化することにしている。