アップルコンピュータがインテルチップ搭載の新型マックを発表

マックワールド2006基調講演でジョブズCEOが披露、年内に全機種を一新へ

　2006.01.12−アップルコンピュータのスティーブ・ジョブズCEOは、10日からサンフランシスコで開催されている「マックワールド2006」の基調講演で、今年6月までに発売が予定されていたインテルプロセッサー搭載の新型マッキントッシュを前倒しで完成させ、即日販売開始すると発表した。まずはディスプレー一体型のiMacとノート型のMacBook Proを売り出すが、年内に全機種をインテル搭載機に切り替える。ここ数年はiPodで話題を振りまいた同社だが、今年は本業であるパソコン市場でも躍進が期待される。

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　ジョブズCEOは、冒頭で前四半期の売り上げが57億ドルと過去最高を記録したことを引き合いに出すなど、機嫌良く話しをはじめた。講演の前半は、前四半期にiPodが1,400万台の販売を達成（1分間に100台以上）したこと、iTunesミュージックストアの楽曲売り上げが8億5,000万曲を超え（直近は1日に300万曲のペース）、90日前からスタートしたテレビ番組配信も800万本の販売実績をあげたことなどに触れた。

　また、家庭向けデジタルメディアスイートのiLifeの最新バージョン06については、25万枚の写真が管理できるようになった最新版iPhotoを取り上げたほか、音楽編集ソフトのガレージバンドを利用して自らポッドキャストのコンテンツを作成するデモを実施。さらに、スイートに新たに加わった新製品iWebを披露し、写真やポッドキャスト、ブログなどを掲載したクールなウェブサイトを簡単に作成し、家族や友人と共有するという新しいデジタルライフスタイルを提案した。

　しかし、今回の基調講演のハイライトは後半に用意された新しいハードウエアの話題だ。ジョブズCEOは「すでに、今年の6月までにインテルプロセッサー搭載機を発売することをアナウンスしていたが、きょうはその進捗状況を紹介したい」と前置きし、壇上でインテルのポール・オッテリーニCEOから完成したシリコンを受け取って披露。いままでのデモンストレーションが、実はインテル搭載の新型iMacを用いて行われていた事実を明かした。

　新型機は、インテルの最新プロセッサー「CoreDuo」を搭載し、OS（基本ソフト）も最新のMacOSX 10.4.4を内蔵している。「17インチまたは20インチのワイドスクリーンディスプレー一体型で、デザインもサイズも価格もまったく同じ。唯一違うのは性能で、以前のG5搭載iMacよりも2−3倍高速だ。われわれがインテルを選んだのは、現時点で最高のPCをつくりたいため。年内には全機種をインテルチップ搭載モデルに一新する」とアピールした。

　新機種は日本国内でも即日発売で、価格は17インチディスプレーモデルが15万9,800円、20インチモデルが20万9,900円となる。

　ジョブズCEOはまた、今後はすべてのアプリケーションの“ユニバーサルバイナリー化”を進め、これまでのPowerPCプラットホームと新しいインテルCoreDuoプラットホームの両方で動くようにする計画を明らかにした。今回の基調講演で発表されたiLifeとiWorkの最新版はすでにユニバーサル化されている。ただ、移行期へのフォローとして、PowerPC向けに書かれたアプリケーションをCoreDuo上で動くようにする“ロゼッタ”技術で対応する予定。マイクロソフトオフィスも当面はロゼッタでの対応になるという。

　ジョブズCEOは、デモンストレーションとしてロゼッタを介してフォトショップを動かしたが、「これくらいの重量級アプリになると（かなり重いため）プロ向きではないかもしれないが、ときどき使うくらいのユーザーなら大丈夫。ブラウザーなどの通常のソフトなら問題ない」とした。

　基調講演の最後のサプライズは、いつもの「あともう一つ・・・」に次いで明らかにされたノート型新機種であるMacBook Pro。やはり、インテルCoreDuo搭載で、従来のPowerBookよりもさらに薄型化されている。「アップルのノート型はG4ベースだったため、もっと速いノートをという要望が多かった。ただ、ノートの設計に当たってはCPUのワット当たりの性能が問題で、その点でG5はG4よりもむしろ低くなってしまったため、G5でノート型を出すことができなかった。ところが、CoreDuoはワット当たりの性能でG4の3倍以上であり、そのため今回のMacBook Proの性能は4倍から5倍に向上している」と胸を張った。

　従来機よりも明るい高輝度型の15インチワイドスクリーン液晶搭載で、CPUのクロックやハードディスク容量などの違いで24万9,800円と30万9,800円の2機種が用意される。出荷は2月からだが、すでに予約注文は可能。

新機種と旧機種の性能比較

基調講演での資料より