サービス型ソフトの米ネットスイートが日本市場に進出

ERP/CRM/eコマースを統合、6月から順次日本版サービスを提供へ

 2006.03.14−オンデマンドで業務アプリケーションを提供する米ネットスイート(本社・カリフォルニア州、ザック・ネルソン社長兼CEO)が、全額出資で日本法人を設立、本格的な事業を開始した。6月をめどに日本語版のサービスを開始する。ERP(エンタープライズリソースプランニング)とCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)、eコマース機能をシングルデータベース(DB)環境で統合しており、インターネット経由のサブスクリプション方式で利用できるため、導入コストや管理コストがほとんどかからない。新しいソフトウエアのビジネスモデルとして米国では急成長しているが、これが日本市場でも定着するかどうか注目されるところだ。

 同社は1998年に設立された企業で、米オラクルの会長であるラリー・エリソン氏が過半数の株式を所有(共同設立者でもある)している。ネルソン社長によると、オンデマンドで使用するサービス型ソフトウエアはいまや大きなうねりとなっており、「今後のサービス型ソフトの成長率はパッケージ型の4倍と予想されており、先行したCRM分野だけでなく、ERPも含めてすべてのビジネスアプリケーションがサービス型に変化する可能性がある」という。

 データの安全性やシステムの可用性についても、「当社のデータセンターは十分なセキュリティを考慮しているため、中小企業が社内に置いておくよりも、はるかにデータは安全だ。また、当社では99.5%の高可用性を保証しており、ビジネスコンティニュイティの面でも有利だと思う」とネルソン社長。サービス型ソフトの利点を訴える。

 さて、同社のサービスは、ERPとCRM、eコマースの3分野を統合したアプリケーションとして提供される。利用者はブラウザーでシステムに接続するが、経営トップから現場の担当者まで役職や権限に応じてパーソナル化された画面が表示される。すべてのデータがシングルDB上で統合されているので、個々のユーザーがそれぞれの切り口で意思決定したとしても、全体の整合性が常に保たれるというメリットがあるとしている。視認性の高い画面はダッシュボードと呼ばれ、表示する項目やレイアウトもユーザー自身が自由に変更することが可能。

 SOAPなどの業界標準に準拠したAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)が用意されているため、ウェブサービスを使って外部のアプリケーションと連携することも容易。カスタムアプリケーションを開発するためのツールキットもそろっている。

 ライセンスと料金は、「CRM」が月額1ユーザー95ドル、ネット販売ビジネスに対応させた「CRM+」が同130ドル、フル機能の「NetSuite」が同600ドル(追加1ユーザー100ドル)、エントリー版の「NetSuiteスモールビジネス」は同105ドル(同50ドル)となっている。

 日本市場においては、中堅企業をターゲットとし、開発面や営業面でのパートナーと協業しながら普及を図る方針である。日本語化されたサービスは、まずは6月をめどにCRMとeコマース機能を先行させ、来年の春にERPを提供する計画。業種別のテンプレートなども順次開発を進めていく。

 日本法人「ネットスイート」は、3月中に登記完了する予定で、社長にはマイクロソフトの上級執行役を務めた東貴彦(ひがしたかひこ)氏が就任している。今年末までに15人程度の体制にする。