日本オラクルが化学物質統合データベース管理基盤を提供
国際法規制対応に威力、化学物質・安全性・法規制などマスターデータ統合
2006.01.12−日本オラクルは、化学物質の国際法規制対応に向けたIT(情報技術)基盤づくりを実現する「オラクルケミカルデータベースソリューション」(OCDB)を開発、大手から中堅大手の化学・素材メーカーを対象に提案活動を開始した。化学物質データ、法規制データ、安全性データなど、製品や原材料にかかわるさまざまな情報を全社横断的に一元管理し、ますます厳格化する内外の法規制に柔軟に対応できるようにする。オラクルのデータベースとミドルウエアを活用したソリューションで、既存のアプリケーションを生かしながらシステム化するため、短期間で導入でき、投資対効果が大きい。欧州REACH規制やグローバルなGHSなどへの対応が課題とされるなか、今回のソリューションは広く注目を集めそうだ。
日本オラクルが開発したOCDBは、サービス指向アーキテクチャー(SOA)対応の「フュージョンミドルウエア」製品群を基盤としたプロダクトインフォメーションマネジメント(PIM)データハブを応用したもの。日本主導で製品化されたソリューションで、日本の法規制および日本企業のグローバルビジネスを支援することを狙いに開発された。
各部署に散在している化学物質情報をオラクルデータベース上でマスターデータ統合し、高いセキュリティのもとで全社共有するとともに、データの登録や改訂、承認などの業務ワークフローを組み込むことが可能。とくに、化学物質情報は「製品」「原料」「容器・包材」など用途に応じたカテゴリーを自由に設定して階層化でき、それぞれに数値や文字、文書、画像などの属性情報を定義したうえ、改訂履歴までを保持することが可能。このマスターデータを使って、原料組成や容器に基づく構成表を定義し、原料や物質の利用製品を簡単に検索することができる。
フュージョンミドルウエアの機能によって他社アプリケーションとの連携も容易で、例えばSAPの生産管理システムで登録・変更されたマスターを同期化し、OCDBのマスターデータベースをリアルタイムに更新することも可能。
また、コンテンツに関しては、日本ケミカルデータベース(JCDB)から化学物質データ、国内法規制データ、安全性データが提供される。OCDBへのダイレクトな取り込みが可能で、将来的にはオンラインで自動更新するサービスも計画されている。
日本オラクルでは今後、海外法規制データなど提供可能なコンテンツを広げるとともに、各種ラベル・帳票出力の充実、オラクルのグローバル組織での連携などを通して継続的に機能強化を図っていく考え。当面の事業目標としては、OCDB関連で初年度(今年5月期)8億円、次年度15億円の売り上げを見込んでいる。