セールスフォース・ドットコムがオンデマンドサービスに無制限版を追加
AppExchangeの機能をフル活用、あらゆるビジネスアプリを利用可能
2006.03.10−オンデマンド型CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)サービスプロバイダーのセールスフォース・ドットコムは、サードパーティー製のさまざまなアプリケーションコンポーネントを含む「AppExchange」の機能をフルに活用するための新しい料金コースとして、「アンリミテッドエディション」を追加し、販売開始した。ユーザー独自のアプリケーションを開発して組み込むことも可能になるため、CRMにとどまらず、ERP(エンタープライズリソースプランニング)も含めたあらゆるビジネスアプリケーションをオンデマンド型で利用できるようになる。
同社が提供しているのは、ウェブ上でアプリケーションをサービスとして利用するためのプラットホームで、CRMおよびSFA(セールスフォースオートメーション)関係のアプリケーションは同社自身が提供しているが、それに加えてAppExchangeには180以上の各種アプリケーションが登録されている。
同社のジム・スティール社長は、「何年か先には数千、数万のアプリケーションがそろってくると思っており、ユーザーはいろいろなカテゴリーの中から自分の使いたいアプリケーションをみつけることができるようになる」と話す。実際に幅広い用途で使われはじめており、「対外的な広報活動やリクルート活動に用いている企業や、自社開発の食品管理システムを動かしている食品会社もある。日本でも、ERP用途で使っているユーザーがいる」という。
AppExchangeは今年の1月からスタートしたばかりだが、すでに4,400のインストール実績があり、トライアルは9万7,000回に達している。
今回のアンリミテッドエディションは、AppExchangeを最大限に利用したいユーザー向けに設けられた契約で、アプリケーションを無制限に追加・実行することができるほか、利用できるディスク容量(エンタープライズ版の6倍に当たる1ユーザー/120メガバイト)とカスタマイズ機能(同じく10倍のカスタムオブジェクト)が拡張されている。
また、アプリケーションサービスの開発・テスト環境として「Sandbox」(サンドボックス)が提供される。稼働中の環境をそっくりローカルにコピーできるので、その上で安全に新しいアプリケーションの動作や、複数のサービスの連携などを検証することが可能。さらには、自社専任のサポート担当者とシステム管理者が割り当てられるので、充実したサポートを受けることができるという。(別表参照)
アプリケーションのオンデマンドサービスというビジネスモデルについてスティール社長は、「シーベルやSAPなどの伝統的なCRMパッケージは、導入企業の75%が失敗に終わっているという調査がある。それに対して、当社の場合は99%の企業が導入・運用を成功させている。確かに、シーベルなどが高くて入れられない中堅企業がわれわれの当初のユーザーだったが、いまは安いからというよりも、本当に使えるものがどれかという観点で当社のサービスが選ばれている。それで、最近は大企業にもかなり浸透してきたと思う」と述べる。
また、ライバル企業に関しては、「オラクルやSAP、マイクロソフトなどのビッグベンダーは背負っているリスクが大きいので、なかなかオンデマンド方式には踏み切れないだろう。そもそも、ソフトを売ることとサービスを提供することはビジネスのやり方が全く異なっている。この分野でのわれわれの優位は揺るがない」と自信を示した。