富士通九州システムエンジニアリングがADME予測システムの最新版

化粧品分野へも対象を拡大、モデル構築で最新手法導入

 2006.09.29−富士通九州システムエンジニアリング(FQS)は、化合物の薬物動態などを予測・評価する「ADMEWORKS」を機能強化し、最新バージョン3を販売開始した。新しく皮膚感作性予測モデルを組み込んでおり、これまでの医薬分野に加えて、化粧品などにも対応範囲を広げたことが特徴。定評のあるモデル構築機能も強化され、“AdaBoost”と呼ばれる新手法を世界で初めて組み込んだという。ソフト価格は126万円からで、1年間に30本の販売を見込んでいる。

 ADMEWORKSは、生体内におけるADME(吸収・分布・代謝・排出)特性および毒性などを評価するためのソフトで、既存のモデルを使って予測することに特化した「ADMEWORKSプレディクター」と、ユーザーが自分で予測モデルを構築することができる「同モデルビルダー」の2種類がある。

 今回のバージョン3では、すでに提供中の溶解性やエイムズ変異原性、発がん性などに加え、新しく皮膚感作性モデルを用意した。化学物質による過剰な免疫反応によって皮膚かぶれが起こりやすいかどうかを判定するためのもので、同社がLLNA実験データを文献から集めて独自に作成した。これにより、すでに化粧品メーカーでの導入も決まっているという。

 また、医薬品を対象とした機能では、医薬品らしい化合物の条件を定めた“リピンスキールール”とともに、最近注目されている“オプリアのリードライクネス”と呼ばれる指標を、化合物群のフィルタリングに利用できるようにした。いきなりリピンスキールールを当てはめた場合、それをもとに構造修飾をすると分子量が大きくなるなど結果的にルールを外れてしまうことも多かったが、今回のオプリアのルールを利用することでリード化合物としてふさわしい候補構造を効率良く絞り込むことができるという。

 一方、予測モデルの構築は、トレーニングセットとなる化合物の構造からたくさんの化学パラメーターを発生させたあと、特徴抽出を行ってパラメーターを絞り込み、構造活性相関(QSAR)解析によりモデルをつくり上げていく。バージョン3では、特徴抽出でサポートベクターマシン(SVM)とAdaBoost、モデル作成でパーシャルリーストスクエア、ロジスティックリグレッション、AdaBoostといった新しい手法を取り入れた。

 とくに、AdaBoostは強力で高速な最新の手法で、特徴抽出に使えば数百のパラメーターを一気に絞り込むことができ、モデル作成では非線形データを正確に予測することが可能だという。この手法をサポートしている商用ソフトはほかにはないとしており、解析専門家の注目を集めそうだ。

 なお、パッケージ価格は、プレディクターが126万円から、モデルビルダーが220万5,000円から。各予測モデルの単価は30万2,400円からとなっている。