2006年秋CCS特集:アドバンスソフト
文科省プロ成果を商用化、独自の機能強化を実施
2006.12.13−アドバンスソフトは、文部科学省プロジェクト「革新的シミュレーションソフトウエアの研究開発」(RSS21)に参加し、その開発成果の商用化を進めている。プロジェクトは来年度が最終となるため、同社では具体的なユーザーニーズを取り入れながら、商品としての完成度を高めるための開発に集中する考え。それと同時に、地球シミュレータを利用した受託解析など、同社ならではのユニークなサービスも強化していく。
同社がライフサイエンス系で製品化しているのは、量子力学をベースにした先端的な計算プログラム。フラグメント分子軌道法(FMO)を利用した「Advance/バイオステーション」、擬カノニカル局在化軌道法(QCLO)に基づいてたん白質の全電子計算を行う「Advance/ProteinDF」の2種類がある。バイオステーションは、11月にバージョン2がリリースされたばかりで、計算精度を高めつつ時間短縮を図る多層化FMO計算といった機能が新たに搭載された。
ただ、これまでのところは、ある程度開発側の考え方や都合が優先されてきていたが、来年に向けては本格的な製品版としての価値を高めるため、ユーザーニーズの取り込みを重視する。例えば、この2つの製品を統合して「Advance/バイオスタジオ」(仮称)にするという計画もあるという。グラフィックインターフェースの機能・使い勝手の向上、研究に直結した物理量を求めるための解析機能の強化などを進めていく。
バイオステーションに搭載されているFMO計算プログラム「ABINIT-MP」も開殻系への対応や高速化(3−5倍)など、プロジェクトのフリー版との格差を独自につけていきたいとしている。
材料開発分野に役立つナノシミュレーションツール「Advance/PHASE」も外国製品に伍して好調だが、さらに経産省プロジェクトで開発された「OCTA」と連携させ、最終的には一体化を目指していきたいという。