2006年秋CCS特集:コンフレックス
SBDD支援ツールへ向け機能を向上、生体分子への対応強化
2006.12.13−コンフレックスは、配座探索システム「CONFLEX」の機能強化を順次実施することで、将来的にはストラクチャーベースドラッグデザイン(SBDD)に役立つツールへと発展させる方向性を打ち出している。豊橋技術科学大学で開発された国産CCSとして高い知名度を持つが、ここ数年は米国化学会(ACS)への出展や現地代理店の起用など、さらなる事業の広がりがみられている。
CONFLEXは、柔軟性を持つ分子の配座空間を探索し、化学的に重要な配座異性体の最適化構造をもれなく見つけ出すツール。通常のエネルギー計算では初期構造に依存した局所的な安定構造に落ち込んでしまう場合が多いが、CONFLEXは独自のアルゴリズムによって、可能性のあるすべての配座を探り出すことができる。
9月にリリースされた最新バージョン6では、溶媒効果を取り入れた配座探索が可能になった。アミノ酸のように分極している分子でも、うまく配座を解析することができる。たん白質関連では、以前のバージョンでもPDBファイルの読み込みが可能だったが、今回はそれに加えてアミノ酸残基を任意に置換して配列を編集する機能が搭載された。
CONFLEXの解析対象が低分子だけでなく、生体系の分子へも広がっているわけだが、同社ではターゲットたん白質の構造をベースに薬物設計を行うSBDD分野に向けた機能強化をこれからも実施していきたいとしている。
また、バージョン6の新機能として、結晶多形予測機能も注目される。X線結晶構造データを初期条件として、配座異性体や分子配向の違いをもとにさまざまな結晶構造を予測する。周期境界条件ではなく、直径20オングストロームの球形のグリッド内で計算を行うため、精度が高い。
一方、同社ではCONFLEX以外に、分子軌道法のGaussianや分子動力学法のAMBERといった代表的な分子計算プログラムのサポートでも豊富な実績を持っている。