2006年秋CCS特集:日本総研ソリューションズ
最新版で事例DBを搭載、並列処理対応の新エンジンも
2006.12.13−日本総研ソリューションズは、高分子材料特性をナノスケールでシミュレーションできる「J-OCTA」を製品化し、販売している。12月には大幅な機能強化を実施し、来年に向けて弾みをつけたい考え。今年9月には初めてのユーザー会を成功させており、システムの実用性も一段と向上してきている。
J-OCTAは、経済産業省プロジェクト(通称・土井プロジェクト)の成果を商用化したもので、学術レベルでも先端の解析エンジン群を内蔵しているのが特徴。このため、実際にソフトを購入する前に解析して試してみたいというユーザーが多く、同社の解析サービス部門はフル稼働状態が続いている。
ただ、そうしたことを通してノウハウ蓄積や事例づくりが進んできたことも事実で、12月にリリースする事例データベース(DB)もこれらの経験がベースになっている。J-OCTAには、複数の計算エンジンを組み合わせるなどの解析手順をシナリオ化し、共有可能な事例DBを作成する機能がある。モデルや計算条件などもすべて収められており、過去の解析を再現できるとともに、新しい解析のひな型に利用することも可能。
今回のバージョンアップでは、ユーザーが自分のシナリオを作成すると、そのシナリオファイルをパスワードでロックする機能も追加された。貴重なノウハウであるシナリオが漏えいしないようにしてほしいというユーザーからの要望にこたえたものだ。
また、12月には並列処理対応の独自分子動力学エンジン「VSOP」も提供開始される。J-OCTAのエンジン群で最も多用される粗視化分子動力学「COGNAC」の主要な機能を組み込んでおり、大きな系での計算も高速に行うことが可能。入出力ファイルはCOGNACと共通なので、既存ユーザーにはとっつきやすい。
同社では、J-OCTAの適用分野や活用方法を具体的に紹介するためのセミナーや講習会にも力を入れており、東京・大阪・名古屋の3ヵ所で開催することもあって好評を博している。