2006年秋CCS特集:科学技術振興機構

化合物辞書DBを無償公開、用途情報での検索が可能に

 2006.12.13−科学技術振興機構(JST)は、国内最大級の化学物質データベース(DB)サービス「日化辞Web」を運営中。データ数は毎月1万件ずつ増え、今年度中には約240万件に達する。昨年の3月末から公開を開始したが、定期的にデータを更新していることや機能の追加・改良にも積極的に取り組んでいることなどから、利用者も順調に伸びている。

 日化辞Webは、当初は「日本語化合物辞書」として、ハンドブックや教科書などのデータソースや国内の主要研究機関が作成した専門DBに登録された化学物質情報を収録。現在では、化審法や安衛法に基づいて公示された物質や、JSTが作成・提供する「JSTPlus」(科学技術文献ファイル)や「JMEDPlus」(国内医学文献ファイル)などからの収録も含め、最新データを着々と蓄積している。

 物質名や分子式などの文字列をキーワードにする「簡易検索」、すべてのデータフィールドを利用できる「文字列検索」、構造式を作図して検索する「化学構造検索」−の3つの検索モードを持ち、初心者から専門家まで幅広い利用者に対応可能。12月中にはサーバーを増設し、構造検索のスピードアップを図る。

 文献検索サービスの「JDreamII」とリンクしており、文献の中に化学物質が含まれている場合には、ワンクリックで日化辞Webに飛んでくることができる。

 また、最近の機能強化では、用途情報の項目を検索対象のフィールドにすることができるようになった。検索結果画面をはみ出すことなくきれいに印刷できるように整える機能も追加された。英語での検索モードも新しく用意した。これらの機能はすべて利用者からの要望によって搭載したものだという。

 なお、JSTでは、国内の公的機関が作成した物質系DBを相互に結び合わせる「化学物質リンクセンター構想」(仮称)を抱いており、今年度中には具体的なアクションを起こしたい考え。まずは日化辞Webが入り口になるとみられ、サービス開始が待たれる。