サイバネットシステムが米オープンアイのX線結晶構造解析ツール
精密フィッティングを実現、構造決定作業を高速化
2006.11.23−サイバネットシステムは、創薬研究におけるX線結晶構造解析を支援する新しいツール「AFITT」の販売を開始した。米オープンアイサイエンティフィックソフトウエア社の製品で、たん白質に結合している薬物分子(リガンド)を自動的に抽出し、電子密度マップに対して精密にフィッティングさせることができる。同種のソフトはすでにいくつも製品化されているが、今年に新開発されたばかりの最新プログラムであり、フィッティングの速度が速いことから欧米ではかなりの引き合いがあるという。価格は年間サイトライセンスで約280万円。
AFITTは、創薬に携わる化学者とX線解析者との間でスムーズなコミュニケーションを促進するツールとして開発された。X線結晶解析による構造決定のスループットを制約するものとして、電子密度マップへのフィッティングの問題があり、マニュアル作業ではグラフィック端末を使って数日あるいは数週間もかかる場合があるという。
これに対し、AFITTを利用すると、たん白質とリガンドとの共結晶電子密度マップからリガンド部位を自動的に抽出する。これまでのソフトでは、フィッティングに重きを置くとリガンドの分子構造が妥当性を失う場合も多かったが、AFITTではオープンアイ社のリード探索技術を応用して、リガンドにコンホメーションを発生させ、MMFFエネルギー計算を行いながら断熱的なエネルギー変化でフィッティングをかけていく。
このため、回転可能な結合が20以上あるような複雑なリガンドや、解像度が3オングストローム以上の荒いX線データでも、高精度の解析を行うことが可能。処理の高速さも特徴で、通常数分程度でフィッティングが完了するという。
データ形式としては、CNXやCCP4などの入出力が可能で、X線装置の機種も選ばない。