新生CTCの奥田陽一社長が会見

段階的に統合のシナジーを追求、データセンター事業に積極投資

 2006.11.09−10月に合併した伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の奥田陽一社長が6日、記者会見し、統合後の中期ビジョンを明らかにした。ユニークさを持つ一方で総合力を兼ね備えたソリューションベンダーを目指し、バランスのとれた収益構造を築いていく。事業目標としては、2008年度に売り上げ4,000億円(2006年度見込み2,950億円)、純利益200億円(同138億円)を達成する。

 新生CTCの現在の組織は、旧CTCの情報通信システム事業(通信・放送業など)と金融システム事業、エンタープライズシステム事業(製造業、官公庁など)、旧CRCのデータセンター事業、流通システム事業(食品、流通サービス業など)、科学システム事業(科学技術計算)−の合計6事業部門と、子会社16社から構成されている。もともと事業領域が重なっていなかったため、いまは単純に2社が合わさったかたちだ。

 これについて奥田社長は、「これからは段階的に統合のシナジーを追求していきたい。まずは、2008年度に向けた短期的な効果として、旧CTCの顧客にデータセンターサービスを提供したり、旧CRCの顧客にインフラ基盤ビジネスを提供したりするなどのクロスセルによって、105億円の売り上げ拡大に結びつくと期待している。また、管理コスト削減や人的リソース・設備・資産の共有などの効率向上を通し、30億円の収益拡大効果が見込まれる」とした。

 さらに、中長期的には、「旧CRCが得意としていた重要顧客特化型ビジネスモデルを取り入れ、トータルサポートサービスの適用範囲を拡大していくとともに、合併による規模拡大を生かしてこれまでは難しかったクラスの大型案件獲得にも挑戦したい。また、次世代データセンターサービスモデルの立ち上げを通し、全体で二ケタ成長を維持する」とした。

 事業構成のイメージとしては、保守・運用サービスとシステム開発と製品販売の比率が4対3対5を目指す。システムインテグレーターの平均的な収益構造はこれが2対7対1だが、同社は現時点で3対2対5を実現しているという。製品販売の強さを保ちつつ、サービスと開発を成長させていく考えである。

 なかでも、データセンターサービスに関しては、中長期で150億−200億円の設備投資を行う計画。現在、首都圏に横浜、大手町、渋谷の3ヵ所、さらに神戸にデータセンターを擁しているが、渋谷と横浜を増床、神戸を増築し、拡大する需要にこたえていく。横浜センターはさらなる増築も検討するとしているほか、将来的には新センターの設立も考慮したいということだ。