インテルがデジタルヘルスケア事業に本腰
業界団体の日本委員会設立、病院・医療機器メーカーとも協業
2006.11.14−インテルは、国内におけるデジタルヘルスケア事業を本格的に拡大することとし、13日に一連の記者発表を行った。米インテルのデイビッド・ウィットリンガー氏が代表を務める業界団体「コンティニュア・ヘルス・アライアンス」の日本地域委員会が設立されたとともに、インテル日本法人の事業展開として、亀田総合病院(千葉県鴨川市、亀田信介院長)および医療端末メーカーのヴァイタス(本社・東京都文京区、曽根伸二社長)と提携した。在宅から病院まで、IT(情報技術)による基盤を通して、患者中心の安全な医療の実現に向けた貢献を行っていく。
コンティニュア・ヘルス・アライアンスは、今年6月に米国で組織された団体で、ITや通信企業、医薬品、医療機器、遠隔ヘルスケアサービス事業者など67社が加盟している。メンバーは、組織運営や技術的ガイドライン作成などにイニシアチブをとるプロモーターメンバー(39社)と、設けられたガイドラインを自社の製品に実装する立場で参加するコントリビューターメンバー(28社)に分かれている。
基本的に在宅での予防的な健康管理、慢性疾患のバイタルサインモニタリングと管理、高齢者の生活サポート−の3つの分野で、さまざまな医療機器やネットワークベースのサービスを相互に接続できるようにすることを目指している。活動範囲は、技術ガイドライン作成に加え、プロモーションやマーケティング、政府当局への働きかけなど幅広い。ガイドラインについては、関係各方面で行われている標準化作業のコーディネーターとして活動し、国際的な規格としてまとめ上げていく。2007年秋に具体的なガイドラインを発表する予定だ。
今回、設立された日本地域委員会のメンバーは、インテル、エー・アンド・デイ、オムロンヘルスケア、コナミスポーツ&ライフ、シャープ、松下電器産業の6社で、すべて本部のプロモーターメンバーでもある。今後さらにメンバーを増やすべく活動を強化していく。
一方、インテル日本法人では医療機関に対する事業展開も進めており、今回、亀田総合病院と医療のIT化に関する技術検証で、ヴァイタスとはベッドサイド端末の開発・普及で協力していくことになった。とくに、“インテル vProテクノロジー”がポイントとされ、仮想化技術を使って1台のパソコンの中でOS(基本ソフト)やネットワークを完全に切り替えることにより、患者情報を守るセキュリティを実現しやすくなるとしている。vPro搭載のベッドサイド端末がヴァイタスから発売され、12月から地方および都市圏の病院に対する試験導入が行われる予定。
なお、会見の中では、電子血圧計で測定したデータを携帯型医療端末に伝送するデモンストレーションが行われた。一般的な無線LAN技術が使われているが、この帯域の電磁波が医療機器に悪影響を及ぼす心配はなく、むしろ米国では病院内でのRFID技術採用が進み、病床管理が最適化されて患者収容能力が向上するなど、平均150%の投資対効果を生み出しているという。会見で用いられた医療端末はリファレンスモデルとしてタブレットPCをベースにインテルが製作したもので、実際に事業化される際にはパートナーがさまざまな製品を開発・販売することになる。