マイクロソフトがアプリケーション仮想化ソフト「SoftGrid」を提供

既存アプリケーションの互換性問題を解決、企業ユーザーVistaへの移行促進

 2006.12.19−マイクロソフトは、企業ユーザーのWindowsVista導入を促進するため、アプリケーション互換性の問題を解決できる新しいツール群「マイクロソフトデスクトップオプティマイゼーションパック」(MDOP)を来年1月1日から提供開始する。この中にはアプリケーション仮想化ソフトが含まれており、アプリケーションをサーバー側から配信して、個々のクライアントPCにインストールすることなく利用させることができる。Vista導入時の既存アプリケーションの展開にかかる負荷をなくし、互換性の問題も解消できる。WindowsXPのときは、企業ユーザーの50%がメインOS(基本ソフト)として切り替えるのに3年強かかったが、Vistaではそれを1年半で達成したいとしている。

 MDOPは、マイクロソフトが最近買収した製品群をまとめたもので、ソフトリシティ社の「SoftGrid」(ソフトグリッド)、クライアントで稼動するプログラムの把握やインベントリー管理を行うアセットメトリックス社の「アセットインベントリーサービス」、トラブルの原因究明や紛失データの復旧に役立つウィンターミナル社の「ダイアグノスティック&リカバリーツールセット」、グループポリシー設定機能を強化し管理権限の移譲や割り当てを可能にするデスクトップスタンダード社の「アドバンスドグループポリシーマネジメント」−の4製品が含まれている。

 ボリュームライセンスユーザーで保守契約(ソフトウエアアシュアランス)に入っている企業を対象に、年間サブスクリプションで1,200円からの料金で提供する。

 4製品の中で、同社が最も重要なツールになると位置づけているのが「ソフトグリッド」。単一のデスクトップOS上で、複数のアプリケーションを実行するための仮想化環境を実現する。これにより、オフィスソフトの最新版と過去のバージョンなど、通常は共存できないアプリケーションを1台のパソコン上で自由に利用することが可能になる。

 “ソフトグリッドシーケンサー”と呼ばれる独自のパッケージ技術を用いて、各アプリケーションの動作に必要なレジストリーやプラグイン、DLL、iniファイル、フォントなどをコンポーネントにまとめてパッケージ化し、それをサーバー上に保存しておいて、必要に応じてクライアントに対してストリーミング配信する仕組み。クライアント側は、仮想化された環境の中でそのアプリケーションを直接動作させることができる。仮想化アプリケーション間で、データのコピー&ペーストなどの操作も普通に行うことができる。

 アクティブディレクトリーと連動して、管理者が特定のグループユーザーに使わせたいアプリケーションを簡単に指定することができるほか、ユーザー側から使いたいアプリケーションをリクエストすることも容易となっている。

 Vistaへの移行時に既存アプリケーションの互換性を保つことができるほか、クライアントの管理性の改善、データの保護、ソフトウエア資産管理の徹底などにも役立つという。

 ソフトグリッドは当面は英語版のみの提供だが、日本語のWindows上で日本語アプリケーションを仮想化することは可能。ロードマップでは、来年1月1日にリリースするのはWindowsXP向けで、Vista(英語版)向けは来年第3四半期になる。来年後半から2008年前半にかけて日本語のVistaに対応した正式な日本語版が用意される予定だ。ソフトグリッド以外の3つの製品は来年5月にリリースされる。

 同社では、来年3月末まで、保守契約を3割引するキャンペーンを展開中。この機に保守契約を促し、MDOPが利用できることをテコに、Vistaへの早期アップグレードを実施させたいとしている。