マイクロソフトがOfficeLiveの日本語版ベータサービスを開始

自社ドメインのHP・電子メール無償提供、顧客管理・グループウエアも利用可能

 2006.12.12−マイクロソフトは11日、小規模のビジネスユーザーを支援するオンデマンド型サービス「OfficeLive」(オフィスライブ)日本語版ベータサービスを開始したと発表した。ワードやエクセルなどのオフィスソフトをオンデマンドで提供するわけではなく、これらのデスクトップを補完するサービスをインターネット経由で提供しようというのが狙い。来年半ばまで無償で提供し、フィードバックを得てチューニングを実施したあと、6月末をめどに正式版サービスに移行する。

 同社は、すべてのソフトが“SaaS”(ソフトウエア・アズ・ア・サービス、サービスとしてのソフトウエア)になることは否定しており、ソフトウエアとサービスの組み合わせ(ソフトウエア・プラス・サービス)が、本当に現実的な解だとしている。

 今回のオフィスライブは、社員10人以下などサーバーソフトを導入できない小規模ユーザーがネットビジネスを推進したり、ネット上でのコラボレーションを行うことを支援するためのサービス。ベーシック、エッセンシャル、プレミアムの3つのグレードがあり、ベータ期間はすべて無料となるが、契約時には利用者の実在性を確認するため、クレジットカードの確認を行うことになっている。便宜的に1ドルがチャージされるが、確認後に請求が取り消されるので実際には費用は発生しないという。

 ベーシックサービスは、自社ドメインでのホームページを開設し、電子メールを利用するための基本サービスで、ベータが終了し正式版に移行しても無償で提供され続ける。取得できるドメイン名は汎用ドメインである「.com」「.net」「.org」の3つで、登録料や更新料はマイクロソフトが負担する。すでにこれらのドメインを取得していて、ホスティング先をオフィスライブに移転したい場合も、その手続き・費用は無料。「.jp」ドメインの登録は有料となる。さらに、2ギガバイトのメールボックスを持つ電子メールアカウントを25個取得できる。

 ホームページ(容量500メガバイト)制作はオンデマンドで行うことができ、ワードで文書をつくる感覚でドラッグ&ドロップ操作によって短時間に組み立てることが可能。AJAX技術を用いて、2007オフィスで実装された新ユーザーインターフェースである“リボン”が組み込まれており、非常に使いやすい。訪問ユーザー数やページビューなどのレポートを自動生成するアクセス解析ツールも付属する。

 エッセンシャルとプレミアムサービスは、背後ではシェアポイントサービスが稼働しており、本格的なオンデマンド型のアプリケーションを提供することが可能。将来的には、パートナーからもいろいろなサービスが登場する予定となっている。

 ベータでのエッセンシャルサービスについては、ベーシックの機能に加えて、500メガバイトのディスク容量と10人分のユーザーアカウントを持つ専用ワークスペースと、顧客の連絡先管理や営業履歴管理などが行える「オフィスライブ・ビジネスコンタクトマネジャー」を利用することが可能。また、ホームページ容量は1ギガバイト、電子メールアカウントは50個に増える。

 ユーザー権限を細かく設定することによって、ワークスペースを取引先などに公開し、外部との情報共有を促進する目的で役立てることもできる。

 プレミアムサービスは、エッセンシャルの全機能に加えて、小規模事業所向けグループウエア「グループボードワークスペース」が統合される。これは、日本の企業文化を考慮して、日本で独自開発されたグループウエアで、スケジュール管理や行き先掲示板などの機能を持っている。また、ホームページ容量が2ギガバイトに、専用ワークスペースのユーザー数が20、ディスク容量が1ギガバイトになる。

 米国では、今年の2月からベータ公開され、16万社が利用した。すでに、11月15日から正式版に移行しており、日本では提供されていないサービスとして、オンラインリスティング広告を発注できる「オフィスライブ・アドマネジャー」、商品の販売管理などを行う「オフィスアカウンティングエクスプレス」が含まれているという。