ターボリナックスが手のひらサイズの携帯型Linuxマシンを製品化
携帯型音楽プレーヤーと一体化、自分専用のPC環境を持ち歩き
2006.11.22−ターボリナックスは21日、手のひらサイズのデジタルメディアプレーヤーのフラッシュメモリー内にLinuxを格納しておき、任意のパソコンに接続することで、自分だけのパソコン環境をいつでも呼び出すことができる新発想のデバイス「wizpy」(ウイズピー)を開発、来年2月に発売すると発表した。オフィスソフトやブラウザー、メーラーなどひと通りのアプリケーションが入っており、環境とデータをそっくり持ち歩くことが可能。低スペックのパソコンでも実用に耐えることから、肥大化するWindowsに代わる新しい選択肢として、広くコンシューマー用途に訴求していきたいとしている。価格は3万円未満となる予定。
ウイズピーは、4ギガバイトのフラッシュメモリーを内蔵しており、単独ではマルチメディアプレーヤーとして、音楽再生(OGG、MP3、AACに対応)、音声録音(内蔵マイク)、FMラジオ、画像表示(JPEG対応)、動画再生(DivX対応)、テキスト表示などの機能を持つ。1.71インチのOLEDディスプレーを搭載。重量は60グラムで、ちょうどiPod Nanoと同じくらいのサイズとなっている。
本体のメモリー内には、同社のTurbolinuxFUJIをベースにしたLinuxが組み込まれており、パソコンのUSBポートに接続してパソコンの電源を入れると、ウイズピー側からLinuxが起動する仕組み。データを収納できるユーザーエリアは約2.5ギガバイトとなるが、同社ではネットワークストレージサービスを用意し、高度なユビキタス環境を実現することにしている。ウイズピー本体にはネットワーク機能はないが、USBでつながったパソコン側の無線LANなどを活用することができる。
内蔵されるソフトウエアは、ウェブブラウザー、メールクライアント、IP電話ソフト、音楽・動画再生ソフト、画像ビューアー、オープンドキュメントフォーマット(ODF)採用のオフィススイート、ATOKベースの日本語入力ツール、JIS第3・第4水準を含むTrueTypeフォント−など。
同社によると、近年、Linuxが注目されてきたものの、ほとんどのパソコンには最初からWindowsが搭載されているため、あらためてLinuxをインストールし直すという手間が大きな障害になっていた。そこで、インストール作業をまったく必要とせず、手軽にLinuxを体験できるように、今回の携帯型OSというコンセプトを発案したのだという。固定電話が携帯電話に代わっていったように、「自分のパソコン環境をプライバシーごと持ち運ぶ」というスタイルを定着させたいとしている。
なじみのある携帯型音楽プレーヤーと一体化させたようなデザインが興味深く、コンシューマー向けLinuxとしては初めての大ヒット商品となる可能性もある。
なお、商品名のウイズピーは、タレントの小倉優子さんが名づけ親となっている。