富士通九州システムエンジがADME関連事業を強化・拡充

ADMEデータベースに新機能、受託インシリコ予測サービスも開始

 2007.03.30−富士通九州システムエンジニアリング(FQS)は29日、ADME(吸収・分布・代謝・排出)関連事業を強化し、ネットワーク経由でサービスしている「ADMEデータベース」の最新バージョン6を提供開始するとともに、顧客の化合物データをもとにADME特性を予測するなどの受託サービスを4月から新たに開始すると発表した。生体内での薬物動態に注目して、新薬の候補化合物の探索を支援することができる。データベース(DB)サービスは年間30件、受託サービスで年間200件の契約を見込んでいる。

 このDBは、薬物動態分野の研究で高名なクロアチアのレンディック教授らのグループが収集した情報を収録したもので、チトクロームP450とトランスポーターたん白質、フラビン含有モノオキシゲナーゼ(FMO)を中心に、ヒトの主要な薬物動態関連たん白質および薬物の最新情報を収めている。

 今回のバージョン6では、以前から要望の高かった構造検索機能を盛り込み、DB内の約1万2,000化合物に対して部分構造検索/類似構造検索が行えるようになった。手持ちの化合物と類似した構造を持つ化合物のADME情報をもとに、薬物動態プロファイルの良好な化合物デザインや薬物代謝産物の推定などを行うことが可能。

 データ登録件数は、P450関連で1万8,728件、トランスポーターで1万2,157件、その他の薬物代謝酵素で6,287件となり、合計では3万7,182件に増加している。

 ライセンス携帯と利用料金は据え置きだが、構造検索機能の利用はオプションとなり、10ライセンスまでで年間21万円(教育機関は10万5,000円)、20ライセンスまで同31万5,000円(同15万7,500円)がかかる。

 一方、薬物動態と毒性をインシリコで予測する受託サービスは、ユーザーから化合物データの提供を受け、その特性を一括で予測して回答するというもの。予測できる項目は、ドラッグライクネス、リードライクネス、LogP、溶解性、ヒト腸管吸収(HIA)、血液・脳関門(BBB)、Pgp基質(P−糖たん白質)、CYP3A4阻害(チトクロームP450)、発がん性、Ames試験、皮膚感作性、生分解性、蓄積性(BCF)−の13項目。

 料金は、10化合物まで9万8,000円、100化合物まで19万8,000円、1,000化合物まで29万8,000円。

 また、骨格構造と置き換え官能基(Rグループ)の提供を受けて、バーチャルライブラリーを発生させるサービスも行う。この料金は1万化合物まで19万8,000円。このバーチャルライブラリーに対してADME予測を行うこともできる(この場合の料金は1万化合物まで19万8,000円)。さらに、予測モデルのカスタム作成も請け負うことにしている。