日立製作所が3月末でライフサイエンス推進事業部を解散

スタッフはグループ内に再配置、事業は継続の方向

 2007.03.01−日立製作所が、3月末でライスサイエンス推進事業部を解散することがわかった。ただ、事業をやめるわけではなく、対象を絞り込むとともに、約60人の現有スタッフを中央研究所や情報通信グループ、日立ハイテクノロジーズなどに振り分ける。IT(情報技術)業界のバイオインフォマティクス事業は2004年度から急激な落ち込みに転じており、各社とも事業の見直し、再構築、あるいは撤退を進めてきている。1990年代末から盛り上がったバイオインフォブームにひとまずの終止符が打たれたことを象徴するともいえそうだ。

 同社は、1999年10月に当時11番目の社内カンパニーとしてライフサイエンス推進事業部を設立した。当初はシステムインテグレーション(SI)やソフトウエア販売などのコンピューターベンダーらしい事業も多かったが、のちに“ウェット系”の受託サービスを中心に据えるようになり、他のITベンダーとは一線を画すアプローチが注目されていた。

 当初の青写真では、売り上げは2002年に150億円、2010年に2,000億円。人員計画は、スタートの約50人から2002年には200人に増員するとなっていた。

 今回の事業部閉鎖は、昨年末ごろから業界内でうわさとして流れていたが、ここへ来て同社としても正式に認めた格好となっている。人員をグループで吸収するとともに、ビジネス的には中央研究所がウェット系を、情報通信グループがSI系を引き継いで続けていくかたちとなる。今後は民間よりも国家プロジェクトの案件を中心とした展開に絞り込んでいくようだ。

 埼玉県川越市の元製薬会社の研究所跡を利用した事業拠点も閉鎖するが、この建物はもともと借りていたものであり、このたびは返却することになるという。