インフォコムが米ライトハウスデータソリューションズを解散

ADMEデータベース市場に見切り、成長分野・新分野にリソースを集中

 2007.03.27−インフォコムは、米国のADME(吸収・分布・代謝・排出)受託試験機関であるアブソープションシステムズと共同で設立した連結子会社「ライトハウスデータソリューションズ」を21日付けで解散した。独自のADMEデータベース製品を開発・販売してきたが、インフォコムではADME関連事業は今後の発展が見込めないと判断、ストラクチャーベースドラッグデザイン(SBDD)やパスウェイツールなどの成長分野に資源を集中していくことにした。

 解散したライトハウス社は、2003年1月に合弁会社として設立したもので、インフォコムアメリカが51%を出資していた。米食品医薬品局(FDA)承認薬を中心に約350化合物に対して統一したプロトコルでADME試験を行い、定量性の高いデータをそろえた「The ADME INDEX」(ADMEインデックス)を製品化していた。今回の解散にともなって、インフォコム側はこの製品に関する権利を手放し、国内での販売活動も終了することになる。また、アブソープションシステムの受託試験に対する国内窓口業務も終了するため、2000年から続いたアブソープション社との関係は、これで断たれることになるようだ。

 2000年当時は、新薬開発段階の後期においてADME特性の問題、つまり薬物体内動態の不具合によって、開発プロセスからこぼれ落ちる候補化合物が多いといわれていた。そこで、あらかじめADME特性によるスクリーニングを行うことで、新薬に到達する確率を高めることができると期待された。ところが、最近ではADMEで落ちる化合物は意外に少ないという見方が強くなり、製薬会社もADME関連のシステムに大きな投資をしなくなってきている、というのがインフォコムの分析だ。同時に、ADME試験のコストダウンが進み、高価なデータベースを購入するよりも実際に試験をした方が安いという風潮になってきたことも一因だという。

 インフォコムのコンピューターケミストリーシステム(CCS)事業は、ドッキングシミュレーションを中心にした米シュレーディンガーのSBDD製品群が好調を持続。ケムインフォマティクス市場にも新たに乗り出す計画を進めている。さらに、昨年10月にテクノスルガと共同で設立した有限責任事業組合「フローラインフォマティクス」などがある。今回のリストラは、これらの成長分野・新分野を重視して事業の選択と集中を図ったということになる。