菱化システムがBioSolveIT社の創薬支援ツールを発売

SBDD/LBDD両対応の製品群そろえる、バーチャルスクリーニングで威力

 2007.06.20−菱化システムは、ドイツのBioSolveIT社(クリスチャン・レメンCEO)と代理店契約を結び、創薬支援ツールの販売を開始した。受容体の構造が既知の場合と未知の場合の両方に対応できる設計ツールがそろっており、加CCGの統合コンピューターケミストリーシステム(CCS)である「MOE」と統合して利用できるようにすることで、製品同士のシナジーを狙っていく。

 BioSolveITは2001年の設立。たん白質と薬物分子とのドッキング解析を行う「FlexX」の開発元であり、以前は米トライポス社との全面的な提携のもとに事業を行っていたが、1年ほど前から直販のスタイルに切り替えてきている。社員としては20人ほどのスタッフがいるようだ。

 製品面も、FlexXだけではなく、多彩な製品を有している。スタンドアロン(Linux、UNIX環境)でも利用できるツールだが、加CCGと正式に技術提携しており、FlexXを皮切りにその他の製品もMOEと順次統合していく予定。菱化システムも、外部プログラムをMOEと連携させるインターフェース開発では豊富な実績を持っているため、BioSolveIT製品をMOEの外部計算エンジンとして利用できる環境を独自でも用意することにしている。

 具体的な製品としては、ストラクチャーベースドラッグデザイン(SBDD)領域のドッキングツールである「FlexSIS」があるが、菱化システムではリガンドベースドラッグデザイン(LBDD)領域の「FlexS」、「FTrees」にも力を入れたい考え。

 とくに、FTreesはバーチャルハイスループットスクリーニングを効果的に行うためのツールで、ファーマコフォアやフィンガープリントを使う方法よりも柔軟な類似構造検索が可能。構造中の官能基が持つ物理化学的特性とそれらの結合情報をディスクリプターとして使用するため、ユニークな結果が得られるという。標準的なパソコンで6万分子を15秒程度で処理することができる。新手法のツールとしてアピールする。

 一方、FlexSはリガンド分子の重ね合わせツールで、やはり非常に高速。一群のリガンドをひな型の分子に重ね合わせるための配座と空間配置を予測する。280分子対の重ね合わせ予測を平均して2分以内で行うという。ランク付けで有望な化合物を選ぶために利用でき、3次元QSAR(構造活性相関)解析に結びつけていくことが可能。

 FlexSやFlexSISに相当する機能はMOEの中にも含まれているが、ユーザーの選択肢を広げる意味でも積極的な販売展開を図る。