マイクロソフトが次期サーバーOS“ロングホーン”のベータ3を公開

仮想化・管理性など向上、日本語アプリケーションの互換性検証を展開へ

 2007.04.28−マイクロソフトは26日、次期サーバーOS(基本ソフト)として開発中の「Longhorn」(ロングホーン、開発コード名)の日本語版を含むベータ3を全世界で公開した。本格的な日本語環境でアプリケーションの互換性などの評価・検証を行うことができる。最終のベータ版となるもので、今年下半期には製品版の展開準備が整う予定。同社日本法人では、国内の開発者や企業のシステム担当者に向けてこれから多面的に情報提供を行い、新OSへの移行がスムーズに進むよう本格的な支援体制をとる。

 ロングホーンは、Windowsサーバー2003の後継OSとして、クライアントOSであるWindows Vistaと共通のプロジェクトで開発されてきた。昨年5月にベータ2が公開されたが、完全な日本語環境がサポートされたのは今回のベータ3が最初。全体として、新機能の追加はこれで凍結され、安定化向上へのフェーズに入る。日本においては、日本語アプリケーションの互換性検証を行うことが最大の目標になる。

 同社では、26日に都内のホテルで「ロングホーン・ベータ3セミナー」を開催し、新機能を紹介するとともに、ベータプログラムへの協力を訴えた。

 基調講演では、米本社のウィンドウズサーバー部門ゼネラルマネジャーのビル・レイン氏がロングホーンの特徴を概説した。とくに、システムの基盤部分の強化として“サーバーコア”が実現したことが注目される。これは、OSとしての最小構成でのインストールが可能になることで、「例えば、ファイルサーバーとして使用する場合にはGUIは必要ない。OSのコアとファイルサーバー機能だけが動いていればいい」とレイン氏。「不必要なセキュリティホールを設けないため、管理もしやすくなる」と説明する。

 また、ダイナミックパーティショニングがサポートされた。「これはメインフレームクラスの機能で、メモリーやCPUのホットスワップが可能になる」という。

 運用面での改善としては、新しいターミナルサービスやネットワークアクセスプロテクション(NAP)があげられる。これまでのターミナルサービスは、クライアントのデスクトップをそのまま呼び出すものだったが、起動しているアプリケーションのウィンドウが出てくるタイプに変わった。これにより、サーバー上のアプリケーションにリモートアクセスする場合に、ローカルで動作しているのと変わらない感覚でアプリケーションを利用することができる。

 NAPは、外部から持ち込まれたノートパソコンを検疫するための機能で、そのパソコンにウイルス対策ソフトがインストールされていなかったり、パターンファイルが最新ではなかったりした場合に、ネットワークから切り離すことが可能。

 「ロングホーンでは、Windows以外のシステムとの間の相互運用性にも最大限の配慮を払った」とレイン氏。相互運用性カスタマー評議会を組織し、ユーザーニーズを吸い上げると同時に、各種の標準化団体にも参画してきた。

 一方、レイン氏は、「とくに仮想化に関しては階層的な取り組みを進めてきた」と強調した。カギとなるのは「SoftGrid」と呼ばれる仮想化ソフトであるが、逆にオープンソースの“Xen”の仮想化環境のなかでWindowsを動かすことも可能となっている。管理面では、統合管理ツール「システムセンター」の中に「バーチャルマシンマネジャー」を搭載。インフラとしては「バーチャルサーバー2005 R2」を利用できる。また、ライセンス体系も仮想化環境で運用しやすいように、柔軟でシンプルなものを用意した。新体系はインスタンスベースが基本になっている。

 ロングホーンのマーケティング的には、「サーバーの仮想化」、「場所を選ばないアプリケーションアクセス環境」、「プランチオフィス」、「セキュリティと内部統制」、「ウェブおよびアプリケーションのプラットホーム」、「サーバー管理の集中化」、「高可用性」−の7つのシナリオでロングホーンの優位性を明確にしていきたいとした。

 基調講演後のゼネラルセッションでは、実際にベータ3上で日本語アプリケーションの互換性検証を行う際の注意点や要点が説明された。

 なお、今回のベータ3は、プラットホームの違いで、x86版、x64版、アイテニアム版の3種類が用意される。DVDメディアの注文、あるいはネットからのダウンロードのかたちで入手可能。無償(DVDは実費)だが、ベータプログラムへの参加登録が必要になる。詳細は、(http://www.microsoft.com/japan/windowsserver/longhorn/)まで。