2007年秋CCS特集:富士通九州システムエンジニアリング

ソリューションの範囲を拡大、薬物相互作用解析で自社製品

 2007.11.26−富士通九州システムエンジニアリング(FQS)は、富士通や菱化システムのCCS製品を販売する一方で、自社製品の開発にも取り組んできている。同社はCCS事業で欧州に子会社のFQSポーランドを設けており、富士通のCCS製品の開発や海外販売を担当するという役割も果たすなど、グループの中でも重要な地位にある。

 今回、同社が自社開発したのは「DDiシミュレーター」。薬物の併用時に副作用の原因となる薬物相互作用を調べることができ、とくに薬物の体内動態のシミュレーションを通して定量的な解析が可能だという特徴がある。東京大学大学院薬学系研究科の杉山雄一教授の指導のもとに製品化した。

 NPOのHAB研究機構が開発した薬物相互作用データベース(FQSで無償公開中)の成果をもとにしており、将来のバージョンでは予測結果と実際の文献情報を比較できる機能を盛り込む予定だ。

 同社がこれまで扱ってきた菱化システムの「MOE」、富士通と共同開発したADME(吸収・分布・代謝・排出)予測システム「ADMEWORKS」などは、創薬の探索研究で使用するシステムだったが、今回の製品は前臨床や臨床段階の開発ステージに役立つため、ソリューションのカバーする範囲を川下へ大きく広げることにつながった。

 一方、ADMEWORKSも着々と機能強化され、今月に最新バージョン4をリリースしたばかり。製薬会社での利用に加え、最近では動物実験の代替や環境規制対応の観点から化学や食品、化粧品メーカーでも関心が高まっている。実際のユーザー事例としてはファンケルがあり、機能性食品の開発で利用されているという。やはり、国産のソフトであること、日本語で使いやすく、サポート面でも安心感のあることが導入の決め手になったようだ。

 今回のバージョン4では、チトクロームP450のCYP代謝・阻害の定量予測モデルの追加、エイムス変異原性の多段階予測、モデル構築機能の自動化の促進などの強化が図られている。