2007年秋CCS特集:物質・材料研究機構

世界最高の知的基盤整備へ、高分子DBに世界中からアクセス

 2007.11.26−物質・材料研究機構(NIMS)は、世界最高水準の知的基盤を国内で整備する目的のもとに、物質・材料関連のデータベース(DB)の開発とその運用・管理を推進。ポータルサイト「MatNavi」(http://mits.nims.go.jp)を入り口に、全部で20種類以上のDBやアプリケーションをインターネット上で公開している。

 なかでも、利用者が多いのが高分子DB「PoLyInfo」。高分子材料設計に必要とされるさまざまなデータを、1929年以降の主要な学術雑誌から収集し、体系的に整理したもの。毎年、1,000件以上の文献を直接調査し、データを追加・更新し続けており、世界でも最大級の高分子DBに成長している。

 このため、海外からの利用者も多いのが特徴。昨年10月に月間アクセス数が100万件を超えて以来、高水準のアクセスをキープし続けているが、この10月末現在の登録ユーザーは110カ国、1万機関から約3万3,000人に達している。例えば、10月には760人の新規登録があったが、そのうちの260人が海外だった。研究者同士の口コミで、データの信頼性が高いという評判が広がっているようだ。

 そのPoLyInfoが大きな評価を受けたのが、今年の7月に行われた有機テクノロジー国際会議/展示会「オルガテクノ2007」でのこと。最高の名誉である「オルガテクノ大賞」に輝いたのである。いままでのDBにはなかった未知の高分子に対する物性推算機能や構造作図機能などが、有機材料研究に対する新しいアプローチでの貢献であるとして評価された。

 この物性推算機能は、Tg、Tm、屈折率、誘電率、密度、溶解度パラメーター、表面張力の7物性/12種類の推算が可能。DB内に登録されているポリマーに関しては、実験値との比較も可能となっている。未登録ポリマーも、推算パラメーターの存在する限りにおいて物性を探索できる。

 PoLyInfoは、“化学物質リンクセンター構想”にも参画しており、今後は他の機関のDBとの相互リンクを進めていく。