菱化システムが環境関連コンソーシアムへの参加募集を開始

欧州REACH対応安全性リスク評価、有害性とばく露を初期段階から考慮

 2007.12.19−菱化システムは、コンピューターケミストリーシステム(CCS)事業との関連で、欧州などで強化される化学物質規制の動きに対応し、新規化合物の開発段階でその安全性を評価するためのシステム開発を目指す「DEDICATESコンソーシアム」への参加を呼びかける窓口業務を始めた。これは、同社が代理店を務めている仏サイエノミックス社がフランスの国立産業環境災害研究所(INERIS)と共同で実施するプロジェクト。費用と時間のかかる安全性試験の実施件数を削減し、環境対策による開発コストの増大を抑制することを目的としている。

 DEDICATES(Decision Driven Intelligent Chemical Analysis Testing Strategies)コンソーシアムは、来年1月から3年間の予定でスタートする。実際にソフトウエアを開発するのはサイエノミックスとINERISだが、コンソーシアムメンバーは開発の方針を決める投票に参加することができるほか、開発成果をいち早く利用することが可能。使用するためのトレーニングも受けることができる。費用は年間20万ユーロとなっている。

 今回のシステムは、欧州のREACHなどの規制にともない、急増すると予想される安全性試験の実施にかかわるコストを削減しようというもの。とくに、REACHで問題となる有害性とばく露を初期段階から考慮した化学物質開発を行うことを念頭に置いて開発され、コストやリスク面から実験の優先順位付けを行うことができるようにする。

 具体的には、ばく露分布と対数用量反応曲線を考慮したリスク評価機能、コストや敏感度・特異度データなどの安全性試験データベース機能、化学物質の既知データを収録した化学物質データベース機能、構造活性相関による物性推算機能−などのユニークな機能が搭載される予定。基本的に、INERISが長年培ってきたノウハウをもとに、サイエノミックスが開発した材料設計プラットホーム「SciMAPS」と統合するかたちでシステムが構築される。

 新規の化合物に対して、データベースおよび物性推算によって安全性データが得られることに加え、潜在的標的人口に対するばく露分布を入力すると、リスク評価機能および試験シミュレーター、用量反応モデル化機能により、試験を行う場合と行わない場合のリスクを評価できる。両方のリスク評価をデータベース中のすべての試験に適用してその効用を求めることにより、どの試験を行うべきか、または試験をしないかなどの最終的な判断に結びつけることが可能になるという。