2008年春CCS特集:ケムインフォナビ

大学発の国産ソフトを商用化、ケモメトリックス応用拡大

 2008.06.25−ケムインフォナビは、東京大学工学系研究科の船津研究室(船津公人教授)で開発されたソフトウエアを「ChemInTool」の名称でシリーズ化。国産ソフトを振興するという観点から、研究室間・大学間の連携も広がりつつある。

 同社は、統合ケモメトリックスソフト「Chemish」、分子設計統合ソフト「ToMoCo」、有機合成経路設計支援システム「AIPHOS/TOSP」、「同 /KOSP」、NMRからの構造推定システム「SEoN」−といったユニークな独自製品群を持つ。いずれも、商用版としての販売実績を有しているが、なかでも好調なのがToMoCoとChemish。

 ともに、ユーザーの要望をきめ細かく取り入れて定期的にアップデートを行っているが、こうした小回りの良さは国産ソフトならではの利点といえる。とくにToMoCoは分子の重ね合わせやファーマコフォアのモデル化などの機能で、ユーザーの立場に立った使いやすさが高く評価されており、最近では要望にこたえてネットワークライセンスでの提供もはじめたということだ。

 一方、Chemishはモデリングとクラスタリング、変数選択という3大機能を統合したケモメトリックスソフト。モデル式を用いた予測、逆解析、原子団寄与法の機能を備えている。最近は、さまざまな研究や開発の分野においてデータ活用の重要性が増しているため、Chemishの用途も広がってきているという。

 例えば、同じ薬品成分を持つ医薬でも、製剤化の際の製法の違いで効き目に差が出ることがある。このため、欧米では製剤化のプロセスを管理する目的でケモメトリックスの考え方を採用しているという。同様に、材料設計分野でもChemishの有用性が注目されつつある。ケモメトリックスをさらに広く普及させるために、今年は無料セミナーなども開催してみたいとしている。