CTCLSが初の製薬業向けPLMソリューション

原薬・製剤部門の開発サイクルを革新、“QbD”推進に寄与

 2008.04.10−CTCラボラトリーシステムズ(CTCLS)は、米コンフォーミア(本社・カリフォルニア州、ジョー・A・プラング社長)と国内における独占販売代理店契約を締結し、製薬企業向けのPLM(製品ライフサイクル管理)ソフトウエア「デベロップメントオペレーションズシリーズ」の販売を開始した。複雑なプロセスに従う医薬品開発の状況を経営層に“見える化”するため、SAP社のERP(エンタープライズリソースプランニング)パッケージと統合することが可能。SAPジャパンおよびSAPパートナー企業、コンサルティング会社などと連携し、積極的に提案活動を展開する。初年度3億円、3年後に12億円の売り上げを見込んでいる。

 PLMは、製品の企画研究から設計・生産・保守までのライフサイクル全体を包括的に管理する考え方で、もともとは組み立て型の製造業の必要に合わせたもの。開発期間がきわめて長く、当局の厳しい規制に対応する必要がある製薬業に対応できるソフトは、市場には存在しなかった。

 コンフォーミア社の設立は2000年7月。今回の製品は、製薬業の特異なニーズを汲み取るかたちで、ある大手ユーザーとの共同開発スタイルで実用化が図られてきたものであり、外部に向けた本格的な製品化は昨年から行われてきている。また、コンフォーミアは米食品医薬品局(FDA)が推進している“QbD”(クオリティ・バイ・デザイン)の活動にも参加し、そこで得た知識・経験を今回のシステムにも盛り込んでいるという。

 「デベロップメントオペレーションズシリーズ」は、製薬業のPPLM(製品&プロセスライフサイクル管理)を実現するソリューションだと位置づけられており、とくに原薬・製剤開発部門をターゲットにしている。電子開発記録(eDR)として一元化されたデータベースを基盤に、各種の機能がモジュール化されているとともに、化学合成医薬品部門/バイオ医薬品部門/製剤部門など、業務に合わせたスイートとしてパッケージを構成することが可能。このため、カスタマイズ部分が少なくなり、短期間で導入することができる。

 原薬の製造プロセスの確立やパイロット段階へのスケールアップ検討など、さまざまな業務において計画・実行・評価のサイクルを統合し、キャンペーンのサイクルタイムを短縮するとともに、業務間の連携による生産性・品質の改善に結びつけるという効果がある。

 日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)のQ8(製剤開発)、Q9(品質リスク管理)、Q10(品質システム)での議論とも関係している“QbD”では、医薬品として望ましい製品品質を達成できるように、プロセス設計などの開発工程を最適化することが必要だとされる。このため、PPLMソリューションの導入は、QbD推進の観点から、また国際的な医薬品規制を先取りする意味からも非常に重要になるという。

 また、SAPの「ネットウィーバー」プラットホームを介してERPシステムと連携できるため、製造プロセス、原材料、設備・機器などの開発・生産現場のリソースを経営的な観点で統合管理することが可能。これまで、経営層からは把握しにくかった情報を“見える化”し、迅速な経営判断に役立てることができる。コンフォーミア製品は実際にSAPの推奨ビジネスソリューションに登録されており、グローバルでSAPとの協業関係にある。国内においては、CTCLSがSAPジャパンおよびそのパートナー各社と協調して普及を目指すことになる。