富士通九州システムエンジニアリングがADMEデータベースサービスを更新

動物の薬物動態データ3,000件追加、種差に踏み込んだ研究を支援

 2008.07.05−富士通九州システムエンジニアリング(FQS)は、インターネット経由で薬物動態関連のデータベース(DB)検索が利用できる「ADMEデータベース」を更新し、バージョン11として提供を開始した。これは、チトクロームP450などヒトのADME(吸収・分布・代謝・排出)関連データを集めたものだが、今回の最新版はマウスなどの動物のADMEデータを追加したことが最大の特徴。ヒトと動物の薬物吸収率や代謝の違いなど、種差を考慮に入れた解析が可能になった。利用料金は、フルパックで企業・公的研究機関向け年間157万5,000円、教育機関向け52万5,000円。1年間に30件の契約を見込む。

 同社のADMEデータベースは、薬物動態分野の著明な研究者であるクロアチアのレンディック教授(ザグレブ大学)らが収集したデータをもとに構築したもので、チトクロームP450やトランスポーターたん白質、フラビン含有モノオキシゲナーゼ(FMO)など、ヒトの主要な薬物動態関連たん白質および薬物の最新情報を収めている。

 サービスは2005年10月から開始されており、情報の更新は1年間に4回のペース。現在のデータ件数は、P450関連が2万4,006件、その他の薬物代謝酵素関連が7,065件、トランスポーター関連が1万4,917件の合計4万5,988件となっている。

 ヒトの薬物動態データに特化したDBとして、世界でも最もまとまった情報源として評価されているが、今回のバージョン11ではあらためて文献などを洗い直し、マウスやラットなどの約3,000件の動物データ(P450関連)を追加した。

 実際にADME試験を行うと、種の差によって代謝産物が変わる場合があり、それによって毒性が発現してしまうこともある。構造式による検索も可能であるため、同じ代謝酵素でもヒトとマウスで反応が異なるなどのデータがヒットすれば、種差による重要な情報が得られることになるという。

 インターネット経由のASP(アプリケーションサービスプロバイダー)サービスなので、どこからでも利用することができるほか、管理コストがほとんどいらないというメリットもある。