アスペンテックが“ものづくり”高度化を達成するaspenONEバージョン7

7つのベストプラクティスを提供、エンジニアリングの問題解決を最新技術で支援

 2008.10.16−プロセス産業専門IT(情報技術)ベンダーのアスペンテックジャパンは、変化の激しい市場環境に対応し、生産現場と経営を情報でつないで戦略的な意思決定を迅速に下せるようにする統合ソリューションスイート「aspenONE」の最新バージョン7を国内でリリースした。欧米の先進企業で実証済みの7つのベストプラクティスを盛り込んでおり、効率的な業務改革を実現することができる。とくに、今回のバージョン7ではプラントの設計やエンジニアリング、運転最適化など、“ものづくり”技術の高度化に役立つことが特徴となっている。

 aspenONEバージョン7が提供するベストプラクティスによって、(1)プロセスの概念設計のための統合ワークフロー、(2)エンジニアリングにおけるグローバルでのプロジェクト実施、(3)設計モデルを基盤とした運転意思決定支援、(4)プロセスエンジニアリングのための最適な機器設計、(5)石炭ガス化やバイオ燃料などの代替エネルギーの活用、(6)複雑なプロセスのモデル化と最適化、(7)全社レベルでのベストプラクティスの浸透−といった側面での問題解決が可能。欧米の先進ユーザー各社がアスペンテックのツールを利用して実践した“オペレーショナルエクセレンス”を反映させたものだという。

 とくに、プロセスシミュレーターなどの高度なエンジニアリングツールを活用することにより、5−30%の投資コスト削減、5−20%のエネルギーコスト削減が達成されるという。なかでも、目的に合わせて複数のツールを使いやすくナビゲーションする“プロセスエンジニアリングコンソール”を備えており、海外の生産拠点の未熟練のエンジニアであってもグローバルにコラボレーションしつつ、高度な技術成果をあげることが可能。シミュレーションと一体化して、概念設計の段階で経済性評価までも行うことができ、技術的代替案とビジネス代替案の両方を検討できることは大きなメリットになるという。

 エンジニアリングデータベースは“アスペンマスターデータモデル”として一元化されているので、グローバル体制で複数の分野の専門家が協同してエンジニアリングプロジェクトを実施することが可能。これにより、生産性が10−30%向上したなどの事例がある。

 また、プロセスモデルを設計時だけでなくプラントのライフサイクル全体にわたって活用できるため、今回のaspenONEバージョン7には運転訓練用のトレーニングシミュレーターの機能も組み込まれている。これらのモデルをリアルタイム最適化運転にも使用することが可能で、実際に世界15ヵ所のエチレンセンターをコントロールするなどの大規模なユーザー事例もあるようだ。

 複雑なプロセスモデリングを支えるため、米国立標準技術研究所(NIST)との共同で開発された業界で最も豊富で大規模な物性データを提供。2万3,000を超えるコンポーネントが用意されており、複雑なプロセス全体を一気に解く“方程式指向”のアプローチにより、高速なシミュレーションを可能にしている。

 さらに、マイクロソフトの仮想化技術を採用しているため、導入や運用管理が容易だという特徴もある。新たに提供される「アスペンライセンスセンター」によって、各ツールの利用状況を視覚化できるので、効果的な使用法・最善の事例を全社で共有することによって自社のベストプラクティスを探り出し、業務改善の推進に役立てることも可能になる。