フィックスターズが米テラソフトソリューションズを買収

Cell/B.E.向けLinux事業を継承、組み込み用途など強化へ

 2008.11.13−フィックスターズ(本社・東京都港区、三木聡社長)は11日、Linuxディストリビューションの1つである“Yellow Dog Linux”を製品化している米テラソフトソリューションズ(本社・コロラド州、カイ・スタッツCEO)の全資産を買収したと発表した。新たに米国に設立した100%子会社「フィックスターズソリューションズ」(カリフォルニア州)のもとで従業員を含めた全事業を引き継ぐ。これにより、Cell Broadband Engine(Cell/B.E.)の組み込み用途へのビジネス展開を強化していく。

 フィックスターズは、Cell/B.E.に関連したハードウエア、ミドルウエア、アプリケーション開発まで一貫して手がける企業で、自社製品としてCell/B.E.搭載ボード「GigaAccel 180」を持ち、金融・医療・製造検査・デジタルメディア分野などにソリューションを提供している。

 GigaAccel 180の公式サポートOSとして以前からYellow Dog Linuxを採用。その縁で、今回テラソフト側からの申し入れがあり、買収することを決めた。Yellow Dog Linuxは、PLAYSTATION3(PS3)をはじめ、IBMおよびソニー製サーバーマシンを含むすべてのCell/B.E.製品をサポートする唯一のLinuxディストリビューションとなっている。

 今回、10月31日付けで全事業を対象とした譲渡契約を締結。資産および従業員の引き継ぎはすでに完了している。旧テラソフトのスタッツCEOは、新会社のCOOとしてこれからも開発などの指揮を執っていく。買収額は明らかにされていないが、連結での売り上げへの貢献として、初年度約8,000万円を見込んでいるという。

 また、Yellow Dog Linuxのブランド戦略は変更しない。米国にて事業継続されるので、ユーザーサポートやバージョンアップも含めて既存ユーザーへの影響はないとしている。国内では、Linux開発者をさらに採用することに加え、日本語によるサポート体制を充実させる。

 国内ユーザーは、Cell/B.E.ソリューションの採用に当たって、OSのサポートに不安を抱くケースが少なくなかった。その意味で、今回の買収により、プラットホームのレベルからアプリケーションまで包括的なトータルサポートを国内で提供できるようになったことには大きな意味があるといえそう。