アスペンテックジャパンが環境対応シミュレーション技術を強化

CO2分離プロセスの低コスト化実現、吸収溶媒の物性モデル豊富に揃える

 2009.02.04−アスペンテックジャパンは、工場などから排出される前に二酸化炭素を分離・回収するためのシミュレーション技術を確立、地球温暖化対策のための環境対応ソリューションとして国内市場での拡販を目指す。二酸化炭素回収に必要なエネルギー負荷とコストを低減した効率的なプロセス設計を支援することができ、すでに世界では95の大学・研究機関・企業に利用されている。国内では地球環境産業技術研究機構(RITE)の「COCSプロジェクト」で活用されているほか、企業からの関心も急速に高まっているという。

 このソリューションは、同社の定常プロセスシミュレーター「Aspen Plus」と速度論型蒸留計算を厳密に行う「Aspen RateSep」を組み合わせたもの。国内でも19社の導入実績があるが、大半が二酸化炭素分離プロセス分野に応用されている。

 とくに、“二酸化炭素回収・貯留技術”(CCS)の関連で注目されている技術だが、二酸化炭素の分離をいかに低コストで行えるかが普及へのカギだとされる。RITEのCOCSプロジェクトもそのための技術開発を進めており、新規吸収剤の開発や効率の高いプロセス設計などを通して、二酸化炭素分離コストを従来の化学吸収法と比べて半減させることを目指している。アスペンテックのシミュレーションツールで解析することによって、目標はほぼ達成されつつあるということだ。

 Aspen PlusとAspen RateSepを組み合わせてシミュレーションを行う最大の利点は、二酸化炭素吸収溶媒に関する豊富な物性モデルがあらかじめ用意されていること。化学吸収溶媒のMEA、DEA、TEA、MDEA、DGA、AMP、熱炭酸カリ、アンモニア、物理吸収溶媒としてメタノール(レクチゾール)、セレクゾール−が揃っているので、すぐに解析を行うことができる。

 さらに新しいモデルの開発も進めており、来年には化学吸収溶媒で炭酸ナトリウムやDIPA、ピペラジン、物理吸収溶媒のNMP、スルフォラン、炭酸プロピレンなどに加え、混合アミン類も各種サポートされる予定となっている。

 同社では、このほかにもバイオ燃料や燃料電池プロセス、放射性廃棄物処理、クリーンコールテクノロジー、エネルギーマネジメントなどに役立つエンジニアリングツールから、プロセス制御やプラント運転支援のためのシステムまで、豊富なグリーン対応製品をラインアップ。さまざまな角度から総合的な環境対策を講じることが可能となっている。