2009年夏CCS特集:アクセルリス
ワークフロー製品好調維持、アプリケーションさらに拡大
2009.06.24−アクセルリスは、CCSの全方位への製品展開で日本市場での好調さを持続。自動車やエレクトロニクス、あるいはライフサイエンスといった基盤産業の研究開発を支えているだけに、同社のシステムには根強い需要がある。昨年度はワールドワイドでも増収になったことに加え、財務体質も健全であり、他のベンダーの買収でさらなる拡大を図る準備もできているという。
成長を牽引しているのは、ワークフローのエンジンを組み込んだプラットホーム製品の「パイプラインパイロット」(PP)。最新バージョン7.5はマイクロソフトのシェアポイントサーバー2007との統合により、エンタープライズレベルの展開やセキュリティ機能が強化されている。
PPでは、いろいろな機能を持たせたコンポーネントをつなぎ合わせることで一連の処理手順・作業手順のワークフローを構築し、それを実行したり共有したりすることが可能。用途に合わせてコンポーネントをセットにした“コレクション”も豊富に用意されており、最近では画像やチャートを含めて実験・計測データを取り扱うコレクションが強化されてきている。
また、ケムインフォマティクス向けのコレクションも新たに提供された。さまざまなデータベースを一括して検索できるウェブサービス技術を利用して、エンタープライズ検索の基盤を構築することが可能。パーツを配置するだけで検索画面を組み立てることもできる。
このように、PPをベースにしてシステム構築をすれば、ユーザー自身で簡単にカスタマイズが行えるなど、柔軟性と拡張性に優れたシステムに仕上がることも大きなメリットだということだ。
一方、モデリングソフトではライフサイエンス系の「ディスカバリースタジオ」の最新バージョン2.5が今月にリリースされる。リガンドとレセプターの相互作用解析がさらに分かりやすくなったほか、操作法を誘導してくれるガイド機能も搭載された。決まった処理手順はPPで完全自動化することもできるが、ステップ・バイ・ステップで人の手が入るような処理はこのガイド機能が適している。
材料系の「マテリアルスタジオ」は最新バージョン4.4がリリースされたばかり。大規模な系を扱うメソスケールシミュレーションのための新しい計算エンジンが組み込まれた。こうした最先端のソフト開発は「ナノテクコンソーシアム」で先行して行われており、その成果が順次製品版に反映されるというスタイル。そのコンソーシアムは今年10月から最終年度に入る。密度汎関数タイトバインディング(DFTB)法やキネティックモンテカルロ法などの最新計算手法が盛り込まれる予定。とくにキネティックモンテカルロ法は量子化学的に反応系を解析できるため、自動車排ガス浄化触媒開発などへの応用が期待されているという。