2009年夏CCS特集:アドバンスソフト
文科省プロ商用版順調に普及、独自の機能強化・製品開発も
2009.06.24−アドバンスソフトは、文部科学省プロジェクト「イノベーション基盤シミュレーションソフトウェアの研究開発」(RISS)に参加し、開発成果の商用パッケージ化を推進しているほか、産業界のニーズに合わせてシミュレーション技術を基盤とした受託研究事業でも高い実績を築いている。最近では、完全な自社開発商品にも取り組むなど、ますます戦略を強化している。
RISSプロジェクトは、2004年度までの「戦略的基盤ソフト」、2007年度までの「革新的シミュレーションソフト」の成果を受け継ぎ、2012年度までのスケジュールで実施されているもの。アドバンスソフトは第1期の時代から商用版を外販しており、すでにその実績は豊富。
とくに、CCS関連で評価が高いのが、ナノ材料向け第一原理計算ソフト「Advance/PHASE」。今年の2月に行われたユーザー会ではユーザーによる事例発表も行われており、具体的な活用が広がってきた。
今年の9月には関連する新ソフトを含め、最新バージョンへのアップデートが行われる。第一原理計算に必要な擬ポテンシャルを算出する「Advance/CIAO」、自社開発した古典分子動力学計算エンジン「Advance/Flecs」が加わるが、ゆくゆくは材料設計支援の統合ソフトとして大きく発展させていきたいという。本体であるPHASEの機能強化としては、遷移状態を考慮したNEB法による反応経路探索、X線の照射で放出される電子エネルギーを予測するXPS計算、材料表面への分子吸着シミュレーションで計算を効率化する剛体ダイナミクス−などの機能が追加される。
ライフサイエンス系の「Advance/BioStation」も8月にバージョンアップ。密度汎関数法(DFT)でフラグメント分子軌道計算(FMO)を行う新機能が盛り込まれる。プロジェクトのフリー版よりも機能が増えており、開殻系にも対応できることが特徴である。
一方、同社では完全な自社開発製品として、3次元デバイスシミュレーター「Advance/DESSERT」を開発、今年から出荷開始した。半導体デバイスの性能評価ツールで、外国製品に比べて大幅な低価格が武器となっている。安価でも、3次元の形状を作成しやすいなど、操作性には自信があるということだ。