2009年夏CCS特集:富士通九州システムズ

ADME予測で独自性発揮、薬物相互作用解析にも注目

 2009.06.24−富士通九州システムズ(FJQS)は、今年の4月に富士通九州システムエンジニアリング(FQS)を母体に、富士通大分ソフトウェアラボラトリと富士通南九州システムエンジニアリングが合併して新体制を発足。社員1,600人を抱える九州地区トップクラスのソリューションプロバイダーに生まれ変わった。CCS関連では旧FQSの事業を継承しており、引き続き全国区での事業展開を加速している。

 同社は、CCSパッケージ開発を行う全額出資子会社「FQSポーランド」を擁しており、他の国内CCSベンダーとは異なる独特のポジションを築いている。とくに、医薬品の体内動態に関係するADME(吸収・分布・代謝・排出)・毒性予測技術を得意としており、あらかじめモデルを組み込んだ予測システム「ADMEWORKS Predictor」、独自のモデル構築が行える「ADMEWORKS ModelBuilder」、コマンドベースで他システムとの連携・組み込みが可能な「ADMEWORKS CMDPredictor」と、一連の製品が揃っている。

 5月には最新バージョン5がリリースされ、さらに機能や使いやすさが向上。モデル作成で新しいPSO特徴抽出法を導入したほか、半経験的分子軌道法ディスクリプター(MO-G)を追加することで、モデルの精度を高めている。また、あらかじめ用意されたモデルのラインアップも強化し、染色体異常モデルを加えて、全部で15種類のモデルが提供できるようになった。

 一方、このところ注目度が高いのが「ADMEWORKS DDI Simulator」。特定非営利活動法人であるHAB研究機構の薬物相互作用データベースプロジェクトの成果をもとに製品化したもので、体内動態パラメーターを使って、薬物の併用投与時に薬効・副作用発現の変動にかかわる薬物相互作用の程度を定量的にシミュレーションすることができる。

 東京大学大学院薬学系研究科の杉山雄一教授が監修しているため、外資系製薬企業からも問い合わせが多いという。今後、海外への対応を含め、戦略を強化していく。

 液晶化合物データベース「LiqCryst」も他にはない製品。独ハンブルク大学のフォルクマル・フィル教授が開発している製品で、FJQSはアジアでの独占販売権を有している。台湾やインドでも販売実績がある。最新バージョン4.8が出たばかりで、データ数が9万6,000件に増加。ユーザーが自分の化合物を登録したり、データを編集したりできるアドバンスド版も用意されている。