2009年夏CCS特集:富士通

統合製品バージョンアップ、電子ノートでもトップの実績

 2009.06.24−富士通は、自社開発の計算化学統合プラットホームパッケージ「SCIGRESS」バージョン2.0を8月にリリースする。材料科学系ソフト「マテリアルズエクスプローラー」の機能移行がほぼ完了したほか、ユーザーインターフェースも大きく改善された。自社製品であるため、ユーザーの要望をスピーディーに開発に反映させたり、個別にカスタマイズしたりすることも自由。ここから本格的な普及を目指していく。

 SCIGRESS 2.0は、モノマーを結合してポリマーやデンドリマーを作成するポリマーモデリング機能、分子動力学法(MD)に対応したアモルファス構造、液晶構造、結晶構造のモデリング、結晶成長や表面吸着シミュレーションの際に便利な原子・分子の自動発生、MD計算結果の二次解析など、マテリアルズエクスプローラーの主要機能を搭載。それに加え、化合物データベースに対する構造検索といった新機能も追加されている。

 バージョン1に比べてGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)も強化され、データを統合管理する“プロジェクトエクスプローラー”、分子構造の構成要素を一覧する“モデルエクスプローラー”を組み込んだ。外部計算エンジンとのインターフェースは、ユーザーの要望を取り入れ、密度汎関数法ソフトADF向けにバンド計算機能をサポートしたほか、新たに非経験的分子軌道法ソフトGAMESSにも対応させた。

 一方、海外製品は米ケンブリッジソフトと加ACD製品がメインになる。ケンブリッジソフトの電子実験ノートブックは、国内の導入実績では富士通がナンバーワンシェアで、製薬会社向けにハードウエアや運用支援も含めたトータルサービスの強みをいかんなく発揮している。化学会社向けには電子ノートのワークグループ版を推進していきたいという。

 ACD製品では、NMRなどの分析装置からのデータ取り込みからデータ解析、さらにはデータベース化までを一貫して自動化するソリューションが注目されている。最近では、電子ノートとの統合を目指す先進的な取り組みもあらわれているということだ。