2009年夏CCS特集:化学情報協会
ブラウザー利用で操作性向上、今年後半から全ユーザー対象
2009.06.24−化学情報協会は、米ケミカルアブストラクツサービス(CAS)のオンライン検索サービス「SciFinder」のウェブクライアント版の普及に力を入れる。インストールなしですべての研究員が無制限に使用できることが特徴。昨年から段階的に導入を開始したが、すでに大学関係は多くのユーザーがこちらに切り替わった。年末までにはかなり浸透すると期待されている。
SciFinderは、物質・反応・文献・特許を網羅したCASデータベースにアクセスできるサービス。最近は年間定額のエンタープライズ契約をスタートさせたこともあり、順調に利用者が拡大してきている。
実際に検索などを行うには、パソコンにインストールして使う専用クライアントが必要だったが、それをブラウザーから手軽に行えるようにしたのが今回のウェブ版ということになる。従来のクライアント版は大学向けと企業向けで若干の機能の違いがあったが、ウェブ版は完全に共通。また、操作がわかりやすいので、SciFinderの機能をやさしくフルに引き出すことができる。管理面でのメリットも大きい。
現在のウェブ版は、大学および定額契約の企業だけが利用できるが、従量制のタスクパッケージ契約者に対しても今年の後半からはウェブ版がサポートされる。このタイミングで、すべてのユーザーがウェブ版に移行することが可能になる。
CASデータベース自体も強化されており、化学物質の収録データ件数は昨年に1億件を突破した。また、スペクトルを含む物性データへのアクセスなど、単純な文献調査にとどまらず、研究支援ツールとしての性格が強まってきているという。