2009年夏CCS特集:エルエイシステムズ

NMR関連で豊富な製品群、分析技術との統合でリード

 2009.06.24−エルエイシステムズは、核磁気共鳴(NMR)関連のソフトウエアで豊富な実績を持っている。最近では分析用のユニークなハードウエアの提供でも評価が高まっている。

 とくに販売に力を入れているのが、MRIデータのスペクトルをもとに代謝産物を定量解析する「LCModel」(加ステファン・プロベンチャー)。現在、核磁気共鳴医学会のワーキンググループ活動の一環で評価が行われている背景もあり、問い合わせが増えているという。

 NMR関連では、理化学研究所で開発された統合管理型NMRデータ解析ソフト「KUJIRA」を民間向けに販売してきたが、今春からアカデミック向けにも同社が提供を行うことになった。アカデミックユーザーは同社のサーバーからダウロードすることによって入手できる。

 KUJIRA単独ではなく、NMRデータ処理ソフト「NMRPipe」(米国立衛生研究所)やたん白質構造計算ソフト「CYANA」(ピーター・ギュンタルト教授)と組み合わせるのが一般的な使用法であり、同社ではこれらも含めた統合ソリューションとして提供していく。

 これに関連して、海外ではNMRデータからたん白質構造を予測するフリーの新ソフト「CS-ROSETTA」が注目を集めている。並列処理の高速計算環境に対応しているもので、国内でも話題になればNMRPipeの販売につながるものと期待しているという。

 国内では、分析データのデータベース化が遅れているため、NMRデータの取得から登録までを自動化するシステムをカスタム対応で開発中。NMRまわりの特異なノウハウを強みに実績が増えてきている。

 そのほかのソフトウエアでは、NMR解析初心者向けに使いやすい「Mnova」(スペイン・メステルラボ)が好調。質量分析計に対応したバージョンも開発中で、近く発売予定だという。産業技術総合研究所で開発された天然物NMRデータベース「CH-NMR-NP」はオンラインで利用するサービスだが、デモ用のCDを作成しており、今後デモや配布などで活用したいということだ。

 一方、ハードウエア関連では、米AVIVバイオメディカルの超遠心分離蛍光測定装置「AU-FDS」に力を入れる。分子間の相互作用の強さを蛍光強度で調べることが可能であり、NMR解析からの流れでもその機能が注目されている。